研究領域 | マトリョーシカ型進化原理 |
研究課題/領域番号 |
24117504
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
久枝 一 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50243689)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | マラリア原虫 / アピコプラスト / ミトコンドリア / ミューテーター |
研究実績の概要 |
ネズミマラリア原虫のオルガネラゲノムに高頻度で突然変異が発生する、いわゆるオルガネラミューテーターを作成する。作成したオルガネラミューテーターをマウスに継代感染を繰り返すことにより、オルガネラゲノム内に高頻度に突然変異が発生することを検証する。さらに、オルガネラゲノムの変異率の増加が核ゲノムの変異率に及ぼす影響の有無を調べることで、オルガネラと核のクロストークの存在を検証する。また、オルガネラを標的としていると考えられている抗マラリア化合物に対する耐性原虫をオルガネラミューテーターから単離し、原因遺伝子変異を同定することで薬剤標的とmode of actionを推察する。 平成24年度は、アピコプラストとミトコンドリアで機能する、核にコードされたDNA ポリメラーゼをそれぞれ同定した。それぞれの分子の校正機能を欠損したマラリア原虫の作成に取り組んだ
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アピコプラストとミトコンドリアへ輸送されて機能することが推定される、核にコードされているDNA ポリメラーゼをそれぞれ同定した。 それぞれのポリメラーゼについて、校正機能に必須と考えられるアミノ酸をアラニンに置換した変異型遺伝子をsite-directed mutagenesis法により作成した。さらに、これら変異型DNAポリメラーゼ遺伝子で野生型当該遺伝子を置換した原虫を作成した。 現時点では、クローニングの段階まで進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は各ミューテーター原虫をクローニング化する。各ミューテータークローン原虫をマウスに継代感染を繰り返す事により、実際にオルガネラゲノムに変異が蓄積されるのかを検証する。尚、マラリア原虫のオルガネラは多コピー存在することから、次世代シーケンサーを用いたultra-deep sequencingにより変異解析を行う。 次に、オルガネラを標的としていると思われる各種薬剤をオルガネラミューテーター原虫および野生型マラリア原虫感染マウスにそれぞれ投与することで薬剤選択圧をかける。ミューテーター感染マウスからのみ、または野生型原虫よりも速やかに薬剤耐性原虫が出現するかを調べる。ミューテーターから出現した薬剤耐性原虫のオルガネラゲノム変異解析を行い、薬剤選択圧により特定の遺伝子変異が原虫のオルガネラゲノムに蓄積されるかを調べる。同時に核ゲノムの変異解析を併せて行うことで、オルガネラゲノム変異率が与える核ゲノムの安定性への影響を調べることで、マラリア原虫における核とオルガネラ間のクロストークの存在を検証する。
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