公募研究
逆遺伝学的手法はマラリア生物学の発展にこれまで大きく貢献したが、この手法は核コード遺伝子のみを対象としており、ミトコンドリアとアピコプラストにコードされている遺伝子へ適用できないという避けがたい障壁により、オルガネラコード遺伝子の機能解析は今日まで手付かずの状態にある。本研究目的は、オルガネラDNAにおいて超高頻度に変異が発生する原虫、いわゆるオルガネラミューテーターマラリア原虫を創出することである。本年度はアピコプラストDNAポリメラーゼの全長をクローニングし、ポリメラーゼの校正活性に必須な4個のアミノ酸(2個のアミノ酸が1セット、つまり合計2セット(セットA、B))をアラニンに置換した。作成した変異型遺伝子セットAおよびBをそれぞれ野生型原虫に導入し、変異型遺伝子で野生型遺伝子を置き換えた組み換え原虫の作成を試みた。その結果、セットAに変異を持つ組み換え体は得られなかったことから、セットAのアミノ酸置換はポリメラーゼ活性に必須であり、組み換え原虫は致死になると推察した。一方、セットBの部分に変異を持つ組み換え原虫が得られた。しかし、この組み換え原虫のクローニングを行ったが、置換したアミノ酸変異が野生型に戻ってしまった組み換え原虫しか得られなかった。この組み換え原虫には選択マーカー遺伝子がゲノム内に挿入されていることから、組み換え自体は行われたものの、セットBの変異部分が野生型に修復されたと推察した。この問題を克服するため、相同組み換えで用いたアームを1kbから5kbまで延長したコンストラクトを新たに調製し、再度トランスフェクトを行い組み換え原虫のクローン化を試みた結果、導入した変異を持つ組み換え原虫を得た。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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DNA Res.
Eur. J. Immunol.
巻: 43 ページ: 2696-2706
10.1002/eji.201343493
PLoS One
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10.1371/journal.pone.0082025