公募研究
本年度は研究実施計画通り、前年度明らかにした①レドックスによる葉緑体DNA複製制御のメカニズムの解析を行うと共に、共生前の段階、すなわち②シアノバクテリアのDNA複製制御の解析を行った。①前年度の結果より、レドックスによる葉緑体DNA複製制御には、葉緑体核様体に存在するSS結合を有するタンパク質の関与が示された。そのため、葉緑体DNAポリメラーゼ(POP)及びヘリカーゼ(DnaB)が同定されている紅藻シアニディオシゾンを材料に、レドックスによる葉緑体DNA複製制御に関与する因子の同定を進めた。有力な候補であるPOPとDnaBの組換えタンパク質を大腸菌を用いて作製し、酸化処理をすることでSS結合を形成するか検証した。その結果、・両タンパク質とも酸化処理によりSS結合を形成すること、・DnaBのSS結合を形成するシステイン残基を同定し、分子間SS結合を形成すること、・POPのDNA複製活性は酸化処理によって著しく低下することを明らかにした。一方で、DnaBについてはSS結合とヘリカーゼ活性の関係の解析、POPについてはSS結合に関与するシステインの同定、さらにはそれぞれのタンパク質のSS結合とin vivoにおける葉緑体DNA複製活性との関係の解析が課題として残っている。②シアノバクテリアも葉緑体同様明所ではDNAが複製され、暗所ではDNAは複製されないことが分かっている。葉緑体同様レドックスによってDNA複製が制御されている可能性が考えられる。そのため、シアノバクテリアのDNA複製関連因子がSS結合を形成し得るか解析を行った。DnaBとDnaNについて解析を行ったところ、SS結合は形成することが明らかになったが、明暗による差は見られなかった。これは、少なくともDnaBとDnaNのSS結合形成が明暗におけるDNA複製の制御に関与しないことを示している。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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BMC Plant Biol.
巻: 14 ページ: 1-15
10.1186/1471-2229-14-57