研究領域 | 内因性リガンドによって誘導される「自然炎症」の分子基盤とその破綻 |
研究課題/領域番号 |
24117708
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
長井 良憲 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 客員准教授 (30431761)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 免疫学 / 自然免疫 / 糖尿病 / 肥満 / 脂質 |
研究実績の概要 |
1) 遺伝子改変マウスを用いた脂肪組織炎症におけるRP105/MD-1の機能解析について 脂肪組織炎症、インスリン抵抗性におけるRP105/MD-1の機能をKOマウスを用いて明らかにし、Diabetes誌に論文を発表した。RP105/MD-1が機能する組織・細胞を明らかにするために、骨髄キメラマウスを作製した。現在、解析中である。 2) RP105/MD-1の内因性リガンドの探索と脂肪組織炎症との関連について RP105/MD-1の内因性リガンドを探索するために、肥満マウスの内臓脂肪組織において、RP105/MD-1と会合する脂質及び蛋白の解析をメタボローム解析及び二次元電気泳動解析を行った。RP105/MD-1と会合しうる候補脂質・蛋白を見出しており、現在同定中である。 3) 可溶型MD-1の脂肪組織炎症における機能解析について 可溶型MD-1を測定するELISA系を確立した。このELISA系を用いて、高脂肪食摂餌により増加する血清可溶型MD-1の産生臓器を探索した。その結果、可溶型MD-1は内臓脂肪組織より最も産生されていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・KOマウスを用いて、脂肪組織炎症及びインスリン抵抗性におけるRP105/MD-1の機能を明らかにし、論文を発表した。 ・当初の研究計画にのっとり、骨髄キメラマウスの作製やRP105/MD-1の内因性リガンドの探索、及び可溶型MD-1の測定法の確立などを行うことが出来た。解析は中途段階ではあるが、順調に進展しており、今後の成果が期待出来る。
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今後の研究の推進方策 |
1) 遺伝子改変マウスを用いた脂肪組織炎症におけるRP105/MD-1の機能解析について (a)作製した骨髄キメラマウスの解析を進める。キメラマウスに高脂肪食を摂餌させ、内臓脂肪組織における炎症関連遺伝子の発現を解析する。また、インスリン負荷試験を行い、インスリン感受性を解析する。(b)マクロファージ特異的RP105またはMD-1欠損マウスを作製中である。作製後、高脂肪食を摂餌させ、(a)と同様の解析を行う。 2) RP105/MD-1の内因性リガンドの探索と脂肪組織炎症との関連について 昨年度に見出したRP105/MD-1に会合しうる候補脂質・蛋白の同定を進める。再現性を確認すると共に、LC/MS解析で同定を行う。 3) 血管周囲脂肪組織炎症におけるRP105/MD-1の機能解析について 近年、動脈硬化の発症・増悪に血管周囲脂肪組織の炎症が深く関与すると考えられている。これまでの解析から、ヒト及びマウスの血管周囲脂肪組織においてRP105/MD-1が発現し、血管周囲脂肪組織炎症において何らかの役割を果たしていることが示唆されている。そこで、血管障害モデルまたは動脈硬化モデルの実験系を用いて、野生型マウスとRP105及びMD-1欠損マウスの血管周囲脂肪組織炎症と動脈硬化について比較解析する。
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