公募研究
「自然炎症」の概念において、可逆性炎症が不可逆性炎症に至る過程では、病原体センサーとサイトカインシステムの間に悪性サイクルが生じている。一方、「自己炎症」疾患では、遺伝子異常が細胞にあらかじめ存在するため、悪性サイクルがさらに増幅され、持続的・慢性的な不可逆性炎症を生じると考えられる。本研究では、「自己炎症」疾患のうち、プロテアソーム機能不全症である中條-西村症候群(NNS)とPAPA症候群を対象として解析を行った。①中條-西村症候群(NNS):患者から樹立した線維芽細胞を使用した。NF-kB経路の活性化はみとめられなかった。LPS刺激によってROS (Reactive oxygen species)やユビキチン化蛋白蓄積が確認された。特に、K48鎖(プロテアソームの識別シグナル)が蓄積していた。さらに、LPS刺激によって細胞質内のリン酸化p38蛋白が増加していた。ROS蓄積からリン酸化p38蛋白増加までのメカニズムを検討するためROSから誘導されるASK1分子に注目して解析したところ、患者線維芽細胞において、LPS刺激によってASK1分子のリン酸化が亢進していた。②PAPA症候群:PAPA症候群は、無菌性化膿性関節炎、壊疽性膿皮症、嚢腫性ざ瘡を3徴とする自己炎症症候群である。私たちは、上記3徴のある23歳男性患者に遭遇した。PSTPIP1の変異を確認したところ新規遺伝子変異であった。本邦3例目のPAPA症候群と診断した。PAPA症候群の好中球の検討では、ROS産生の亢進がみられ、直接インフラマソームを活性化している可能性が示唆された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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