研究領域 | 内因性リガンドによって誘導される「自然炎症」の分子基盤とその破綻 |
研究課題/領域番号 |
24117722
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐々木 義輝 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (80323004)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | B細胞 / 直鎖状ポリユビキチン鎖 / 慢性炎症 |
研究実績の概要 |
多彩な慢性炎症症状を呈する自然変異マウスであるcpdmマウスの原因遺伝子は、直鎖状ポリユビキチン鎖を選択的に生成するLUBACリガーゼのサブユニットの1つSHARPINである。cpdmマウスでは、慢性増殖性皮膚炎以外にも脾臓構造の異常、パイエル板の欠損、抗原特異的な抗体反応の減弱と、IL-4、IL-5といったTh2サイトカインの血液中濃度の上昇等の免疫異常が報告されている。これらの表現系に加えて腹腔内のB1b細胞数が異常に上昇していることを発見したことから、本研究課題ではB1細胞がcpdmマウスで見られる慢性炎症疾患の発症において担う役割とcpdmマウスの原因遺伝子SHARPINのB1細胞発生における役割を解析することを目的としている。平成24年度では、SHARPINがB1細胞の発生における役割について解析した。SHARPINコンディショナルノックアウトマウスを作製しB細胞特異的にSHARPINを欠損させた場合には、cpdmマウスとは異なりB1細胞数の上昇は認めず、逆に細胞数の低下が観察された。このことからcpdmマウスにおけるB1細胞の上昇はB細胞におけるSHARPINの欠損が原因ではなく、他の組織においてSHARPINが欠損することによって起こる何らかの現象がB1細胞の恒常性に影響を与えていると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度においては、SHARPINコンディショナルノックアウトマウスを作製することで、cpdmマウスで認められるB1細胞数の上昇がB細胞におけるSHARPINの機能不全によって起こるのではなく、外的な要因によって引き起こされていることを明らかにした。現在、この外的要因として機能している可能性のある候補分子を絞り込み、その機能について解析している。このように当初の目的に対する結果をすでに得ていることから、おおむね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度では、cpdmマウスにおいてB1細胞数の上昇を引き起こす外的な要因についてさらに解析する。すでに幾つかの候補分子を絞り込んでいることから、これらの分子を欠損するマウスとcpdmマウスを交配し、B1細胞数に対する影響を観察することで、実際にどの分子がcpdmマウスにおけるB1細胞数の上昇に関与しているか明らかにする。さらにこの上昇しているB1細胞がcpdmマウスで認められる慢性炎症反応にどのような役割を担っているかをcpdmマウスとB細胞を欠損するマウスを交配することで検討を行う。
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