研究領域 | 精神機能の自己制御理解にもとづく思春期の人間形成支援学 |
研究課題/領域番号 |
24118502
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石原 孝二 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (30291991)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 脳神経倫理 / 精神疾患 / 予防 |
研究実績の概要 |
本年度は①統合失調症における早期介入と予防に関する倫理的問題の検討、②自閉症に対するオキシトシンの治療適用に関する倫理的問題の検討、③ニューロフィードバックに関する倫理的問題の検討を進めた。また、ワークショップEthical Issues in Psychiatryを開催し、本研究の海外共同研究者および国内の研究者たちと精神疾患に関する治療・予防に関する倫理的問題について議論を交わした。 ①に関しては、その成果を論文「統合失調症の「早期介入」と「予防」に関する倫理的問題:「早期介入」の多義性とARMSをめぐって」にまとめた。本論文では、統合失調症の「早期介入」と「予防」の倫理に関する先行研究を検討しながら、「早期介入」と「予防」の概念を整理するとともに、早期介入に伴うスティグマの問題、ハイリスクストラテジーとポピュレーションストラテジーの問題などを論じた。②に関しては自閉症スペクトラムの特徴や予想されるオキシトシンの効果などを踏まえながら、オキシトシンが実際に治療に使用されることになった場合の倫理的問題の抽出を進め、その成果を上記国際ワークショップ等において発表した。③に関しては、ニューロフィードバックがもたらす倫理的問題を、ニューロモデュレーション一般に関して指摘されている倫理的問題と比較して抽出する作業を行い、その成果を上記国際ワークショップにおいて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、統合失調症・自閉症の治療と予防にかかわる倫理的問題を中心に、人格形成期である思春期(およびその前後の小児期・青年期)における精神医学的介入一般がもたらす倫理的問題を明確化すること、そしてまた、その解決に向けて一定の方向性を示すことを目的としている。統合失調症の予防および自閉症へのオキシトシン適用に関する倫理的問題については本年度の研究により、一定の成果が得られている。また、領域内での研究に関連して、ニューロフィードバックに関する倫理的問題の検討も行った。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究において、統合失調症・自閉症の治療と予防にかかわる倫理的問題に関しては、その大枠の検討を行うことができたものと考えている。統合失調症の予防に関してはすでに論文としてまとめたが、さらに検討を進める。自閉症へのオキシトシン適用に関しては、本年度の研究の成果をさらに発展させ、論文化する作業を進めていく。また、ニューロフィードバックに関しても検討を進めていく。これらの作業を進めながら、思春期(およびその前後の小児期・青年期)における精神医学的介入一般に関する倫理的問題に関して見解をまとめていく。
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