研究領域 | 精神機能の自己制御理解にもとづく思春期の人間形成支援学 |
研究課題/領域番号 |
24118506
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
中村 元昭 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員研究員 (50464532)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 経頭蓋磁気刺激法 / 高次連合野 / 前頭前野 / 神経可塑性 / 神経回路 / 思春期 / 神経画像 / 脳波 |
研究実績の概要 |
平成24年5月より経頭蓋磁気刺激法(TMS)を用いた研究に必要な物品(空冷式TMSコイル、TMSニューロナビゲーションシステム、TMS専用脳波キャップなど)の選定と購入を行った。TMSパルスをランダムに発生するシステムの開発を関連業者と共に行った。またMRIスキャナーのボア内でTMSコイルを前頭前野に固定する装置も特注した。当該研究計画について健常成人を対象とした部分について昭和大学医学部の倫理審査委員会での審議を受け、改訂の上で承認を受けた(平成24年9月27日付け)。平成24年10月には研究に必要な全ての物品が揃い、TMS-EEG実験ならびにTMS-fMRI実験の予備実験を繰り返した。TMS-EEGの本実験のデータは既に健常成人7名のデータを取得済みであり、前頭連合野のTMS誘発電位を確認することができた。特にTMSにより惹起される介在ニューロンの活動を反映すると言われているN100成分を同定出来た意義は大きい。TMS誘発電位は刺激強度依存性に変化して、用量反応曲線ではシグモイド状の曲線が認められた。また、シータバースト刺激(TBS)の前後で、TMS誘発電位を経時的に測定したところ、振幅の経時的変化をとらえることができた。以上よりTMS誘発電位が高次連合野の興奮特性や可塑性を反映するバイオマーカーとしての可能性を持ちうることが示唆された。TMS―fMRIの実験は、本領域の研究員と連携しながらTMSによるノイズを軽減するためにパイロット実験を繰り返している。TMSコイルとヘッドコイルの角度を調節することでファントムでも人体でもノイズを大幅に軽減できることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
・研究機器類の特注や開発に予想以上の時間を要したこと。 ・健常者に脳刺激法を用いる本研究課題について、倫理審査委員会の審議に時間を要したこと。 ・TMSによるノイズを軽減する技術の確立に時間を要していること。
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今後の研究の推進方策 |
・平成25年度初めにTMS-fMRI実験のプロトコールと解析手法を確立する。当該領域内の研究者との連携体制の中でこれを推進したい。fMRIの解析手法に関してはA02班の研究者との連携体制を構築して推進する。 ・思春期健常者(中高生)のリクルート体制構築と倫理審査委員会での審議を実施する。被験者リクルート体制の構築についてはA01班の協力も得たいと考えている。 ・成人のデータを解析しながら、重要な研究項目を絞り込み、中高生への負担を減らした実験プロトコールを作成する。
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