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2012 年度 実績報告書

認知心理学実験とfMRI実験による思春期の自我機能の成立とその神経基盤の解明研究

公募研究

研究領域精神機能の自己制御理解にもとづく思春期の人間形成支援学
研究課題/領域番号 24118509
研究機関玉川大学

研究代表者

伊藤 岳人  玉川大学, 脳科学研究所, グローバルCOE研究員 (70553238)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード思春期 / 自我形成 / 社会性環境 / リスク選好行動 / 社会性評価
研究実績の概要

人間は自我機能の成立により自らの欲求を抑制し、高いリスクを伴う行動を回避し、より安定的な行動を選択することが可能となると同時に、社会規範に基づいた行動を選択することができるようになる。自我機能の成長段階にある思春期は、衝動的行動(リスク選好傾向)が強く顕在化する時期である一方で、それを抑制する自己制御機能が飛躍的に発達する時期でもある。特に思春期の衝動的行動は周辺(社会性)環境に大きく影響されることも知られている。本年度は、周辺環境の違いが行動選択へ与える影響を検証することで自我機能の成立を行動指標に基づき解明するための実験を行った。まず、実験課題の妥当性の確認と社会性環境の整備を含めた研究体制の確立に努めた。リスク選好傾向と社会規範の理解を客観的尺度で規定するため、不確かな条件下において主観的な判断を要求するギャンブル課題と、社会規範に基づいた行動選択性を検証するための寄付課題を作成した。両課題共に数名の被験者で実験を行い妥当性を確認することができたため、大学生数十名の被験者を対象に実験を行った。ギャンブル課題の結果より、他者に見られているときは一人で課題を行っているときよりも確率に対する主観的な判断が大きく歪められることが確認できた。これは、上記のリスク選好行動は周辺環境によって確率に対する主観的な判断が大きく歪められることが原因の一つであることを示唆している。一方、寄付課題においては、寄付に対する行動選択もまた社会性環境から影響を受けることが確認できたと同時に性差が存在することも確認できた。この結果は、社会性規範の獲得と理解に性差があり、思春期の自我機能の成立には性差があることを示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究では、思春期の被験者から自我機能が成立した成人まで幅広い被験者を対象にデータを収集する予定であるが、平成24年度では主に20歳前後の被験者でしか実験を行えなかった。2つの実験課題を3つの実験条件(社会性環境)で行わねばならず、それを1人で行っているため研究の遂行速度には自ずと限界がある。しかし、実験課題の作成と実験環境の整備を行えたこと、「研究実績の概要」に示したように結果が得られていること、またMRI装置内部において数名の被験者を対象にプレ実験を行えたことは、上記の制限を考慮しても研究の達成度は十分であると判断できる。

今後の研究の推進方策

上記の通り実験環境が整備できたため、今後は様々な年齢層を対象に実験を行っていく。平成25年度が最終年度でありMRI実験を行い解析に足りうるだけのデータの収集に努める。また、25年度中に心理実験の結果を中心に成果をまとめられるように努める。

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公開日: 2018-02-02  

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