公募研究
【成果】平成25年度は、大学生被験者を対象に長期運動学習介入を実施し、被験者が日々の課題を継続し当初目標達成(運動学習完遂)できるか否か関わる行動指標と灰白質容積の相関を調べることで『長期自己制御力』の神経基盤を明らかにした(投稿準備中)。【具体的内容】実験開始前に、被験者の動機水準・知能指数・人格特性・メタ認知力・時間割引率・MRIを計測した上で、被験者群に1ヶ月間の指系列運動学習課題を実施した(PCプログラムによる)。そして、1ヶ月課題を続けた完遂者と中途辞退者の間で、MRIデータと各種心理データを比較した。完遂者と辞退者の知能や性格特性、開始前の動機水準には差がなかった。しかし、課題実施前に取得したMRIデータは、辞退者に比べ、完遂者の前頭極の灰白質体積が課題開始前にあらかじめ発達していたことを示した(左図参照)。これらの結果は、平成24年度に行った短期認知課題における結果と一致した。さらに今年度の研究では、辞退者と比べ、完遂者のメタ認知力が高くかつ時間割引率が低いことがわかった。以上より、前頭極が、課題内容や課題の長さに依存せず、メタ認知力や時間割引率と関連しながら、課題を継続し目標を達成する『長期自己制御力』を担っていることが明らかになった。更に、この領域は、課題完遂でさらに容積を増す(可塑的変化)ことを示す証拠を得た。【意義、重要性】これまで、日々の課題を継続し当初目標達成するような自己制御力を予測するような指標は知られていなかった。今回の成果は、前頭極灰白質容積やメタ認知力が自己制御力を予測する客観的な指標として有用であることを示唆する。また、この指標を手がかりとして、自己制御能力の強化法の開発が成功すれば、自己制御能力の低さゆえに社会的問題を抱える若者への新たな支援の道が開け、社会病理の軽減を通じて社会の活性化につながると期待される。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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J Neurosci
巻: 33 ページ: 13663-13762
10.1523/JNEUROSCI.0410-13.2013
PLosOne
巻: 8 ページ: e66998
10.1371/journal.pone.0066998