公募研究
本研究の目的は、複数人のグループによる体験協創に参加して知識循環を促進するロボットを構築することである。ロボットが体験協創の現場、つまり、ワークショップ、展示見学といったことが行われる場所に常駐し、参加者の学びや気づきのシーンを記録・コンテンツ化し、それを他の参加者に提供することで、体験の文脈に埋め込まれた知識循環を加速する環境が実現できると考えている。今年度は、体験シーンの記録や状況に応じたインデキシングの手法の開発と、人に語りかける際のロボットの動作プログラミングを主に行った。前者は、以前から我々が開発してきたPhotoChatと呼ばれるシステムを基盤として利用している。PhotoChatは、写真とその上への書き込みを実時間で複数端末で共有するシステムであり、体験協創の現場に参加している複数ユーザの興味対象やそれらに関する語りを、写真上への書き込みと共に音声会話も記録する。これらの情報を仮想的に展示対象に貼り付け、同じ展示に興味を示した他の見学者にロボットを介して提示する仕組みを開発した。また、複数の見学者の展示見学の履歴を記録することで、新しい見学者に関連する展示を推薦することとした。一方、展示見学者に近寄り、語りかけ、他の展示を推薦するための、基本的な移動、発話、首振りや身ぶりの動作など、ロボットの基本行動要素をプログラミングし、上記の状況認識に応じて動作するロボットの準備を行った。
2: おおむね順調に進展している
ロボットを利用して知識循環を促すための基本的な技術要素の開発は概ね予定通り進んでいる。一方、実フィールドでの実践的な運用や評価を行うことが本課題の主たる目的となるが、現時点では日本科学未来館での予備的な検討を始めている状況であり、実際に運用実験ができるかどうかはまだ不確定要素が多い。科学未来館での運用実験が難しくなったときには、はこだて未来大学内での模擬的な展示会などでも実践的な評価実験ができるように、検討を進めておく必要があると考えている。
学びや知識創造の場となるような実フィールドで、人のグループに寄り添い知識流通を促すロボットを開発することが本課題の目的である。そういった意味では、技術要素の開発だけでなく、実フィールドでの実践と評価が重要である。現時点では、日本科学未来館での展示スペースでの運用実験を行うべく調整を進めている。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
人工知能学会誌
巻: 28 ページ: 224-229
社会言語科学会誌
巻: 15 ページ: 38-56
Applied Intelligence
巻: 36 ページ: 208-228
10.1007/s10489-010-0255-y
巻: 27 ページ: 405-410
http://www.fun.ac.jp/~sumi/photochat/