本研究は,ロボットとの協創による障がい者が自発的に活動することができる作業療法システムの開発について提案した.音楽再生部の開発は,平成20年に開始していくつかのシステムを作り実際に利用した中から多くの改良を行ってきた.平成23年からはロボットを連携できるようにしたが,システムの設定が複雑なため,利用時には開発者が立ち会う必要があった.また,ロボットをユーザの操作に応じて動作させるようプログラムしてきたが,あらかじめ用意したユーザモデルに従って適切に反応を返すということが難しいことが分かっている.本提案では,システムを誰でも容易に利用できるようにすることで,本システムの利用情報を多く得て,それを基に能動的活動を促す自然なロボットの介在方法を創出する. 本研究では,ユーザ操作に対してロボットがタイミングよく反応を返すようにするシステムを構築することを目的にした.確実なユーザ操作を取り込むために,我々が別の研究で開発してきた学習支援システムとの連携を行った.また,ロボットの制御データの作成を容易にするためのシステムを作成し多様な状態に反応を返すことを実現した.そのために,ユーザの状態感知システムの開発,ロボット制御データの作成,ロボット制御データモジュールの作成,および,シナリオモジュールに従った総括システムモジュールの作成,モジュール間の通信プロトコルの設計,モジュールごとの制御回路の設計,ハードウエアシステム全体の一体化による操作性の向上を行った.システム開発には,IntelligentPadシステムを用い,ロボットの制御,ユーザの状態感知,制御シナリオ,学習支援システムをすべてモジュール化したシステムとして開発し,リハビリシステムに組み込むことを容易にした.
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