本研究の目的は、リン脂質の生合成に関わる酵素を無細胞系(PURE system)で合成し、リン脂質代謝系を試験管内で構築・再現することである。これによりリン脂質をモデルとした、膜タンパク質分子間ネットワークの無細胞内再構築を試みる。研究実施計画は、(1)各膜タンパク質酵素をPURE systemにより合成・定量し、スコア化すること、また(2)NanoDisc(ND)に合成と同時に膜局在させ、PURE systemから簡易的に単離することである。 これまでに、8種の膜タンパク質酵素について、PURE systemでの合成を確認した。その中で合成量の低いもの2種について、系を高度化・最適化することで合成量の回復を確認した。また、HisTagを付加したNanoDisc(ND)をもちいることで、高効率で迅速に合成産物を単離することができた。 これらの成果をもとに、第35回日本分子生物学会年会(福岡・2012年12月11-14日)にて「Construction of membrane protein complexes by cell-free system」のタイトルで口頭発表を、第7回無細胞生命科学研究会(愛媛・2012年11月17-18日)で「無細胞タンパク質合成系による膜タンパク質複合体の構築」のタイトルで口頭発表を、「細胞を創る」研究会5.0(東京・2012年11月21-22日)で「無細胞系で創る膜タンパク質複合体」のタイトルでポスター発表をおこなった。
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