公募研究
超高齢化社会を迎えて、骨粗鬆症を代表とする骨疾患は1000 万人を超えると推定される。この治療・改善には、骨リモデリング機構を明らかにするとともに、そのコントロールが必要である。光活性化型イオンチャネル・ポンプを用いて、骨芽細胞・破骨細胞に膜電位操作回路を導入することに成功した。本研究では、創出した膜電位操作回路導入骨芽細胞・破骨細胞を用いて、骨リモデリング制御により、生体内で任意の部位・時期で骨構築をおこなうことを目的とする。本年度では、生体内での骨関連細胞機能のコントロールによる骨リモデリング制御を通して骨構築をおこなうことを目的とした。具体的には、レンチウィルスによる遺伝子導入を用いて、マウス生体内で膜電位操作回路を組み込んで、骨構築を試みる。マウス由来の骨髄細胞をIn vitro で培養して、骨芽細胞・破骨細胞を分化・誘導する。それらに、レンチウィルスにより膜電位操作回路を組み入れてから、標的部位に細胞移植をした後、局所的な光刺激により膜電位操作をおこなう。
2: おおむね順調に進展している
A:頭頂骨部に焦点をあてて、頭頂骨を切り取った部分に、マトリゲルとともに膜電位操作回路を組み入れた細胞を埋め込み、定着させることに成功した。細胞定着の試行錯誤のため、予想以上に時間がかかったが、現在、この細胞を埋め込んだマウスにたいして、光照射をおこない、骨量のコントロールをおこなうことを試みている。B:膜電位操作回路の発展のため、膜電位感受性分子の破骨細胞の機能的スクリーニングをおこない、その結果、ライソソームにある膜電位感受性イオンチャネルのカルシウム透過性チャネルTPC2を同定した。破骨細胞の分化過程において、細胞内カルシウム濃度の変動が深くかかわっているが、TPC2はこの細胞内カルシウム変動を制御しており、破骨細胞分化をコントロールしていることを報告した(発表論文2)。また、力学的負荷・膜電位変動時における骨芽細胞の細胞内カルシウム変動にイオンチャネルTRPV4の関与を見出した(発表論文1)。現在、これら分子を膜電位操作・細胞内カルシウム変動に生かすために、細胞における発現調整をおこなっている。C:非興奮性細胞における膜電位の役割を検討するため、軟骨細胞株に膜電位操作回路を組み入れて、検討をすすめている。予備実験の結果、過分極により軟骨細胞分化が促進して、脱分極により分化抑制が生じることを確認した。
A: In vivoにおいては、頭頂骨に細胞を埋め込んだマウスに対しての光照射を続けて、骨構築の程度を観察していく。B: 膜電位操作回路に関しては、報告した分子を使用して、膜電位操作・細胞内カルシウム変動に生かすために、細胞における発現調整をおこなう。C: 他の非興奮性細胞については、予備実験結果をもとに、膜電位の役割をスクリーニングしていく。
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Bone
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