研究領域 | 動的・多要素な生体分子ネットワークを理解するための合成生物学の基盤構築 |
研究課題/領域番号 |
24119508
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
荒木 通啓 京都大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (40396867)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 合成生物学 / 代謝工学 / バイオインフォマティクス |
研究実績の概要 |
人工代謝経路の設計には、化学・生物情報解析による精度の高い人工代謝経路の設計技術の開発が必要とされている。本研究では、国内外の技術と比較しても卓越した設計基盤の構築ならびに標準化について検討を行う。H24年度は、すでに開発している代謝パスウェイの設計基盤をもとに、より広範な代謝パスウェイを探索していくために、設計基盤の高度化と設計ユーザインターフェイス(UI)の開発を実施した。高度化プロセスでは、設計に利用する化学構造・反応の定義について、より精密な構造を判別できる化学的特徴を見出すことにより、高次のデータ形式を考案した。また、PubChemデータベースを利用した化学構造比較のために、高速検索用の独自の化学構造データベースを構築することで、大幅に計算時間を短縮することができた。さらに、逐次的化合物出力(逐次法)、ランダム組合せ最適化(ランダム法)の各方法ならびに種々のフィルタリング手法の組合せによる評価プロセスを新たに設計ツールに実装した。UI開発においては、出発化合物と目的化合物を入力とするジョブ登録画面を作成し、種々の計算条件を設定するために、反応ステップ・反応バリエーション・設計アルゴリズム等の各オプションの選択ツールを実装した。計算結果には、代謝パスウェイの候補リストを表示し、パスウェイ中に出現する化合物の化学構造を列挙することで、新規の酵素反応・化合物情報を効率的に選択できるようにした。これを利用して、既知事例にてテストを実施したところ、現実的な時間内に有意な結果が得られることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
設計基盤のコア部分に関しては、UI開発も含めて概ね達成している。また、設計基盤そのもののパフォーマンス評価により、検証実験に期待される性能は十分有していることが示され、これを利用した共同研究も開始している。一方で代謝経路の評価部分に関しては、引き続き要検討の状況と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
代謝経路評価、酵素・遺伝子選択ツールの開発、天然物への適用拡大を含めた設計基盤の周辺技術に関して開発を行うとともに、領域内研究グループとの共同研究を加速化していく予定である。
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