これまで比較的軽視されてきた、代謝物制御に関わるタンパク質局在の影響を積極的に考慮し、新しい知見を得た。すなわち、HPrタンパク質の局在がグリコーゲン分解の決定要因として強く働いていることを、この機構を組み込んだシミュレーションの実行結果が生物学的事実と無矛盾に対応することを示すことによって主張した。 PTSタンパク質のHPrとEIIAGlcの作用がグリコーゲン代謝の制御に重要な働きをしていることを示した。具体的には、大腸菌の生活環におけるグリコーゲン利用の仮説、すなわち、誘導期初期では補助的エネルギーとて使われるが、誘導期後期から対数期の間で大腸菌内に蓄積され、定常期においてゆるやかな生存のために少量ずつ消費される、という一連のグリコーゲン利用は、HPrとEIIAGlcを中心とする因子群によって制御されることをシミュレーションによって検証した。
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