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2012 年度 実績報告書

オプトジェネティクスによる正中縫線核セロトニン神経と衝動性の関係の解明

公募研究

研究領域予測と意思決定の脳内計算機構の解明による人間理解と応用
研究課題/領域番号 24120501
研究機関北海道大学

研究代表者

大村 優  北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80597659)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードオプトジェネティクス
研究実績の概要

異常な衝動性の亢進は薬物依存や犯罪、自殺の危険因子となり得る。本研究の主な目的は、衝動的行動を制御している神経回路・関連分子を解明することにある。本研究では特に正中縫線核5-HT神経に着目し、中枢神経系のセロトニンと衝動性の関係について諸々の未解決の問題を、オプトジェネティクスによって一挙に解決しようとする。具体的には、5-HT神経特異的に光受容体であるチャネルロドプシン2の変異体C128Sを発現させた遺伝子改変マウスの正中縫線核に留置したファイバーにより光を照射し、5-HT神経活動のON/OFFを可逆的かつ時間的に精密に制御し、衝動的行動の変化を計測する。
まず、遺伝子改変マウスの妥当性を確認するために、正中縫線核に光を照射して腹側海馬において5-HT遊離量を測定した。その結果、正中縫線核に光を照射することにより、5-HTの遊離が一過性に上昇することが確認された。
次に、正中縫線核光照射によって動物の行動が変化しうるどうかを確かめるために、訓練の不要な簡便な試験である高架式十字迷路を実施した。この試験は主に不安を測定するものである。結果として、光照射による正中縫線核5-HT神経活動の上昇は不安様行動を促進した。このように、使用装置の能力は十分であると考えられた。
さらに、衝動性を測定する3-選択反応時間課題の訓練をマウスに施し、予備検討を行った。その結果、少数のマウスではあるが、光照射による正中縫線核5-HT神経活動の上昇によって衝動性の低下が観察された。このように、正中縫線核5-HT神経活動の上昇は衝動性を抑制すると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「研究実績の概要」で示したように、光照射の効果を十分に確認できているため。

今後の研究の推進方策

現在のところ、少数のマウスではあるが、正中縫線核光照射による衝動性の低下が観察されている。今後はマウスの数を増やしてこの結果を追試すると共に、5-HT神経細胞特異的にアーキロドプシンを発現させるマウスを用いた実験も進めていく。このマウスでは光照射により5-HT神経活動を減少させるため、正中縫線核5-HT神経活動の抑制が衝動性を亢進させるかどうかを検証することができる。

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公開日: 2018-02-02  

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