研究概要 |
1997 年のSchultz の報告から、ドーパミンが報酬の予測誤差を担っているという知見が積み重ねられてきた。しかしこのドーパミンニューロンを直接興奮もしくは抑制しうる因子に何があり得るのかは未だ完全には解明されていない。応募者らは2011年に線条体のストリオソーム(パッチ)領域の直接路ニューロンはドーパミンニューロンが存在する黒質緻密部に投射していることを報告した(Fujiyama et al., 2011)。しかし技術的な限界のために、この報告も黒質緻密部への投射軸索が直接ドーパミンニューロンにシナプスを作成していることの証明までは至らなかった。一方、応募者らはH24~25年の公募研究で、「報酬予測をつくるネットワークの解明」のために大脳基底核の中継核である視床下核および淡蒼球外節に対し、ウイルスベクタを用いた単一神経トレース等を行った (視床下核:Koshimizu et al., 2013; 淡蒼球外節: Fujiyama et al., Neurosci2013報告)。この研究の過程で、淡蒼球外節の単一ニューロンの軸索がドーパミンニューロンが存在する黒質緻密部に投射していることを偶然発見した(Fujiyama et al., Neurosci2013報告)。
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