公募研究
本研究の目的は,旅行先で観光するときの行動(以下,散策行動と呼ぶ)において,人間の行動意思決定に作用した意思決定アフェクタを記述する代わりに可視化することで,人間の行動意思決定メカニズムを解明することである.人間が行動意思を決定するメカニズムを解明するには,①情報収集,②行動案の考案・比較,③行動決定というプロセスを細かく分析する必要があるが,本研究において「①情報の収集」は,過去にその地を訪れた先人達の散策行動ログを分析することで獲得し,「③行動決定」後の個人の散策行動はスマートフォンを携帯した被験者から収集する.①と③の関係を解析することで①から「②行動案の考案・比較」を経由して③に影響を及ぼした意思決定アフェクタを推定する.本年度の研究では,以下の成果が得られた.【散策行動ログの解析】大規模画像データベースFlickrで公開されている写真を大量に収集し,写真に記録されている撮影位置や撮影日時,ユーザIDを利用して,観光スポットを推定する手法を確立した.また,観光スポット間のリンク強度を解析する手法についても開発した.過去により多くの観光者が移動した経路については,強いリンク強度を推定する手法を開発した.さらに,リンク強度を利用して,各観光スポットに対して「ハブスポット」,「収束スポット」,「発散スポット」などの属性を推定する手法を開発した.【ランドマーク認識】散策行動時に撮影されるランドマークを認識する手法を開発した.大規模画像データベースFlickrで公開されている写真を大量に収集し,写真に付与されている対象のラベル特徴と写真の画像特徴間の関係を解析しておくことで,ラベルが未知の写真に対しても,ラベルを推定することができるようになった.これにより,観光者が散策行動時に興味を持った対象を推定できるようになった.
2: おおむね順調に進展している
今年度の目標は,大規模画像データベースから収集されるタグ付き画像を解析し,散策行動に関する情報を抽出することであり,それに関する成果が概ね得られている.また,次年度以降に実験を実施する環境についての準備も進んでいる.
本年度の研究により得られた先人たちの観光行動ログを観光者に提示して,観光行動の意思決定に及ぼす影響を実験を通して考察する.
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IEEJ Transactions on Electronics, Information and Systems
巻: Vol.133, No.1 ページ: 142-149