研究領域 | 予測と意思決定の脳内計算機構の解明による人間理解と応用 |
研究課題/領域番号 |
24120513
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
小林 和人 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90211903)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 逆行性導入ベクター / イムノトキシン / 学習 / 皮質線条体路 / 行動柔軟性 |
研究実績の概要 |
動物は、環境の変化に適合し、自らの行動を柔軟に変換する。この行動の柔軟性には、前頭前野皮質と線条体を連関する神経回路が重要な役割を持つと考えられている。この神経回路の機能異常は、統合失調症などのさまざまな精神・神経疾患の病態に深く関与することも知られている。本研究では、前頭前野皮質から背内側線条体 (DMS) への直接入力および線条体介在ニューロンの役割に注目し、行動の柔軟性を生み出す脳内神経機構の解明に取り組む。本年度は、内側前頭前野皮質(medial prefrontal cortex/mPFC)あるいは眼窩上皮質(orbitofrontal cortex/OFC)からDMSに入力する神経路の選択的な除去のために、Cre遺伝子をコードする神経細胞特異的逆行性遺伝子導入(NeuRet)ベクターをマウスのDMSに注入し、その後、mPFCあるいはOFCにloxP/変異型loxP配列で隣接された逆位のヒトインターロイキン-2受容体αサブユニット(IL-2R)遺伝子を持つアデノ随伴型ウイルスベクターを注入した。Cre-loxP組み換えによって、経路選択的なIL-2Rの発現誘導に成功した。この動物のPFCにイムノトキシンを注入することによってmPFC-DMSあるいはOFC-DMS路を選択的に除去し、空間認識に基づく迷路学習課題を行い、逆転学習やセットシフティングへの影響を解析する。第二に、low-threshold spiking (LTS)介在ニューロンタイプの行動生理学的な役割を解明するために、NPY遺伝子プロモーターに依存してIL-2Rを選択的に発現するラットを作製した。このラットのDMSにイムノトキシンを注入し、LTSニューロンの選択的な除去を誘導した。この除去モデルを用いて、上記と同様に逆転学習とセットシフティングへの影響を解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記のように、前頭前野皮質ー線条体路の経路選択的な除去の条件を確立した。また、トランスジェニックラットにおけるLTSニューロンの選択的な除去のための条件も確立した。今後、これらの動物を用いて、行動生理学的な解析を進める計画である。
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今後の研究の推進方策 |
上記のように、前頭前野皮質ー線条体路の経路選択的な除去およびLTSニューロンの選択的な除去を誘導し、空間認識に基づく逆転学習とセットシフティング(方略転換)を用いて行動柔軟性を評価する。
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