研究領域 | 予測と意思決定の脳内計算機構の解明による人間理解と応用 |
研究課題/領域番号 |
24120522
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
橘 吉寿 生理学研究所, 統合生理研究系, 助教 (50373197)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 腹側淡蒼球 米国 / 視床下核 米国 |
研究実績の概要 |
本研究課題においては、実験動物(サル)がローリスク・ローリターン、ハイリスク・ハイリターンな状況におかれた際、どのような行動選択(意思決定)を行い、その際、大脳基底核ニューロンがどのように活動するかを電気生理学的に記録・解析する。また、ドーパミン・セロトニン入力が大脳基底核ニューロン活動に対し、どのような影響を及ぼすかについても薬理学的手法を用いて検討する。本研究で用いる運動課題は、眼球運動課題である。眼球運動は、その神経機構が十分に研究されていること、また、空間的・時間的解像度の高い測定が可能であることから、意思決定の神経基盤を研究する上で優れた実験モデルとなりうる。申請者が用いる行動課題においては、視覚刺激の色情報に基づいた意思決定をサルは行わねばならない。具体的には、まず中央に四角形が現れ、サルが一定期間固視したあと、左右に二つの視覚刺激が呈示される。一つは緑色の視覚刺激で、研究期間を通して、ローリスク・ローリターンな報酬を予測させる刺激である。もう一つの刺激は、赤色の視覚刺激で、これは絶えずハイリスク・ハイリターンな報酬を予測させる刺激である。遅延期間のあと、固視点が消灯し、それを合図にサルは、左右のいずれかの視覚刺激に急速眼球運動を行わねばならない。ローリスク・ローリターンを示す緑色の刺激を選択した場合、例えば、ある決まった量の報酬を5回に4回の割合で得ることが出来る。一方、ハイリスク・ハイリターンを示す赤色の刺激を選んだ場合は、例えば、5回に1回の割合でしか報酬を得ることが出来ない。ただし、報酬を得ることが出来る試行においては、報酬量が緑色の刺激を選んだ際に得られる報酬量の4倍となる。現在、実験動物は、これらの行動課題をおおむね学習し終えた。これから視床下核ならびに線条体からの神経活動記録を展開する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
所属研究機関の耐震工事が夏期に入り、実験スペースの引っ越しを途中行ったため、実験が中断した期間があったが、それを考慮に入れると研究計画は概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
従来の申請では、長期的な研究プランとして、線条体・視床下核からの細胞活動記録を予定していたが、平成25年度は、確実なデータが出るであろうと予想される視床下核の神経活動記録をまず重点的に行うこととする。
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