研究領域 | 予測と意思決定の脳内計算機構の解明による人間理解と応用 |
研究課題/領域番号 |
24120523
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
中原 裕之 独立行政法人理化学研究所, 理論統合脳科学研究チーム, チームリーダー (10312282)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 意思決定 / 強化学習 / 神経科学 / 価値 / 経済学 |
研究実績の概要 |
本研究は、「意思決定のための価値の生成と統合の脳機能」解明のために、数理モデル提案と実験検証を合わせて行う。研究目的は、価値の「学習」に焦点をあてた目的I「価値予測を形成する脳内入力の表現学習」と、価値による「行動選択」に焦点をあてた目的II「複数の価値統合による行動選択」の二つである。 目的Iの「学習」では、ドーパミン神経細胞活動を題材に、いわば従来想定の“直観的、習慣的なモデルフリーの脳機構”から、真のモデルフリーの脳機構として「表現学習(価値学習を行うための脳内表現自体の学習)と統合されたモデルフリーの学習」をいかに行われているかの検討を進めた。具体的には、作業仮説「価値を学習するための入力表現の学習が、従来のモデルフリーの強化学習と統合されたのが脳の本来のモデルフリーの強化学習」のもとで、サルの行動とドーパミン神経細胞記録を、計算論的視点から統一的なデータ解析を試みている。以前の研究で、各実験課題で、コンテキストに対応する確率変数の存在は確かに示された一方で、その実験課題の真の報酬確率の構造がドーパミン神経細胞にどのような変数として反映されるのか、その学習の方法が未解決であり、それをデータ解析と数理モデルしゅみゅレーションを併用しながら明らかにしようとしている。 目的IIでは予備実験を進めた。異なる起因で生成された複数の価値が統合され、行動選択に反映される素過程の脳機能の解明を目指したヒトfMRI実験を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的Iでは、おおむね順調に進んでいる。本年度内に研究を取りまとめるようにしたい。目的IIについては、ヒトfMRI実験の予備実験が始められているのでおおむね順調と言える。一方で、研究結果をより優れたものにするためには、あと一工夫が必要だと感じている。
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今後の研究の推進方策 |
目的Iについては、このまま順調に進めたいと考えている。一方で目的IIでは、研究の意義をより重要なものにするために、行動選択の素過程に含まれる複数の要因の特徴をより明確にすることを考えたい。そのための実験課題のデザインの工夫を加えようと考えている。
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