公募研究
本研究では、生活支援ロボットと安心して快適にコミュニケーションするために、ユーザの意図や状況を適切に理解し行動する能力をロボット自身が、日常生活空間におけるユーザとのコミュニケーションを通して学習する技術の開発を目的とする。マルチモーダルコミュニケーション能力を表現しているダイナミックグラフィカルモデルを意思決定理論に基づいて能動的に学習するアプローチをとる。本研究の独創的な点は、人間とロボットが信念を効率的に共有してゆける対話と行動を、意思決定理論に基づいて実現することである。本年度の実績は,以下の通りである.(1)ロボット自身が物体の概念と名前を能動的に学んで行く際に,未知物体に遭遇するたびに,ユーザに名前を聞いたりする能動的学習を行っていたのでは非効率である.存在する未知物体の中から,どの順番で概念と名前を学習してゆけばよいのかを判断する手法が必要である.学習する順番は,過去のコミュニケーションを鑑みて,今後のコミュニケーションに役立つであろうと判断されるものから,決定される.本年度は,物体概念と名前の学習の順番を決定することで,コミュニケーションに必要な共有信念の学習を効率よく行うための手法の理論的構築を行った.(2)7月のロボカップ@ホーム世界大会に玉川大,電通大,情報通信研究機構のチームで出場して準優勝を飾る.(3)10月の日本ロボット学会講演会で,上記取組みを説明する招待講演を行った.
3: やや遅れている
私事ではございますが,研究代表者が平成24年度末で,所属を変えなければならなくなってしまい,平成25年度からの所属を探すのに,多くの時間を割かなければなりませんでした.そのために,本研究のエフォート分の業務をこなすことができませんでした.誠に申し訳ございませんでした.しかしながら,理論的構築を行った手法のオリジナリティーは高いものであり,今後,精力的に研究を進めていく所存であります.
24年度の遅れを取り戻すべく,研究内容を意思決定理論に基づいた能動的学習手法の開発・評価に集中させて実施する.そのため,当初計画に挙げられていた動作の能動学習の研究は,割愛することとする.本研究のすべてが同一の動作原理で構築されているため,この割愛は研究全体に対して,大きな損失とはならない.その他の部分は予定通り遂行する.今後は,以下の項目について研究を行う.(1)24年度に理論構築した,物体概念と名前の学習の順番を決定することで,コミュニケーションに必要な共有信念の学習を効率よく行うための手法の実装と評価.(2)コミュニケーションの能動学習:人間とロボットの信念の共有度をコミュニケーションのための評価尺度とした効用関数を開発する。ロボットが、この期待効用を最大化する発話と動作を生成し、相互適応により、共有信念を効率的・漸増的に形成する手法を開発する。(3)開発した手法の評価:サブタスク3で開発した手法の有効性を、ロボット内部パラメータおよび人間心理の両面から検証する。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
計測自動制御学会論文集, pp.469-478, Vol. 49, No. 4, Apr.2013
巻: 49 ページ: 469-478
10.9746/sicetr.49.469
Speech Communication
巻: 55 ページ: 190-203
10.1016/j.specom.2012.08.008
Advanced Robotics
巻: 26 ページ: 1995-2020
10.1080/01691864.2012.728693
人工知能学会誌
巻: 27 ページ: 563-568
http://naotoiwahashi.jp/