研究領域 | ヘテロ複雑システムによるコミュニケーション理解のための神経機構の解明 |
研究課題/領域番号 |
24120701
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
三浦 佳二 東北大学, 情報科学研究科, 助教 (60520096)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | コミュニケーション神経情報学 / 複雑ネットワーク / Hodge分解 / 応用数学 / 神経科学 |
研究実績の概要 |
本研究課題においては、現代微分幾何学の重要な成果であるHodge-小平分解の理論を応用して、動的に流れ続ける脳の情報の遍歴を特徴づける。Hodge-小平分解は、有向グラフの行列表示さえ得られれば線形代数により計算できて、ネットワーク上の流れを3つの要素(ポテンシャル流,再帰的流れ,局所渦)に分類して、解釈をつけることを可能とする。特に、従来、複雑ネットワーク研究でサマリーとして用いられてきた一様性を仮定した局所的な情報(例えば、「1つの頂点から伸びる枝の数の次数分布」) とは一線を画し、ヘテロで大域的な情報を得られることが特徴である。これを用いて、全ての神経細胞をなるべく層状に分類したり、再帰的な流れがあるかどうかの検出を目指すものである。 初年度においては、スパースな行列を仮定することで行列表示を工夫して、R言語を用いた高速な分解アルゴリズムを開発した。当初のナイーブな実装と比較して1000倍以上の高速化を達成することができた。これによって、100-200ユニット(神経細胞)から成るネットワークでもHodge-小平分解を行うことが可能となったことは、現実的な応用を考えると極めて重要な成果である。さらに、このアルゴリズムを用いて、神経回路網をシミュレーションしたデータに対してベンチマークを行った。これは、実データへの応用に先立って、教育・啓蒙的効果も考えて、簡単なネットワークモデルに対してHodge-小平分解を応用することで、あらかじめ「辞書」を作っておくものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高速に動くアルゴリズムを開発できたことで、各方面に応用出来るめどが立った。
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今後の研究の推進方策 |
方法論上の課題としては、さらに分解アルゴリズムの高速化が可能か検討を行う。 応用としては、ネットワークの結合が時間変動するAoki-AoyagiモデルにHodge分解を適用することで、従来はカオス領域とされていたパラメタ領域をさらに分割して特徴づけることを目指す。
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