研究領域 | ヘテロ複雑システムによるコミュニケーション理解のための神経機構の解明 |
研究課題/領域番号 |
24120706
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
船曳 康子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80378744)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | コミュニケーション / 発達障害 / 自閉症 / 脳波 |
研究実績の概要 |
発達障害者は程度の差はあれコミュニケーションの障害を有することが多く、当該疾患の社会性の障害もコミュニケーション障害の結果という解釈もできる。そこで、その基盤を明らかにすることで、学習や教育、更には社会支援に生かすことを目的とする。これまでに、状態差、個人差、評価者間の差により、これらの評価にずれが生じることを見出し、それらの統制をとった上での計測を行っている。 今年度は、理化学研究所と共同で、2者間で協調タッピング課題時の脳波測定を行った。自閉症スペクトラム障害者の成人25名、健常成人25名を招集し、各種発達障害の特性評価とその程度、認知機能、自閉症スケールなどを実施した上で行った。主として、自閉症スペクトラム障害者(ASD)とコントロールのペアーとし2者間のタッピング、そして、相手がコンピューターであることを告げずに、種々の条件のコンピューターとタッピングさせた。行動レベルでの結果は、ASDでは急な変化に対応できず、一端、リズムが乱れると途中から修正することも困難な傾向にあった。引き続き、上記課題を遂行するとともに、計測機器を増やし、心理・発達検査結果、行動データも含めて、解析も進めていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年齢、性別、認知機能をマッチングさせた、また無投薬の被験者を上記人数召集し、種々の必要な心理・発達検査、行動データ、脳波データを取得できた。自閉症のツールもADOSのフルライセンスを取得、新たな発達検査の入手、調整なども行った。脳波室の確保、マンパワーの調整などから始めたので、まずまずの達成度と考える。 なお、脳波計も今年度に新たに専用のものを取得し、更に、リアルタイムの脳機能(酸素飽和度)測定のためNIRSの手配も行った。また、MRIとの同時計測の準備も整えた。
|
今後の研究の推進方策 |
脳波の解析を進め、専門家との議論のための会議を積極的に推進して、データの発表に努める。 同時に、上記の会議も通して、課題を練り直し、次回のデータ収集のための被験者の召集は継続して行う。 次回は、脳波のみならず、NIRSやMRIとの同時計測、また認知機能検査や記憶検査も追加を予定しているが、それらの設備の調整も迅速に行う。具体的には、NIRSは島津製作所の協力の元、既に定期的に試用を行っているが、その継続とともに、設置へ向けて調整する。更には、NIRSのメカニズムを学んで、臨床応用するための会議に参加して、基礎工学の分野と共同研究を予定している。MRIとNIRSの同時計測に関して、MRI専用のプローブを特注中である。
|