研究領域 | ヘテロ複雑システムによるコミュニケーション理解のための神経機構の解明 |
研究課題/領域番号 |
24120708
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
青木 高明 香川大学, 教育学部, 講師 (30553284)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ソフトコンピューティング / 数理物理 / 自己組織化 / 神経科学 |
研究実績の概要 |
本課題の目的は,シナプス可塑性によるネットワークダイナミクスの理解である.我々の脳は,コミュニケーションによる経験を経て変化している.それを支える神経基盤はシナプス可塑性だが,シングルシナプスレベルの研究と比べて,ネットワークレベルでは可塑性がどのように作用するのかという問題は理解が進んでいない.この問題は,結合自体の可塑性という従来の力学系理論を一歩拡張したテーマを含んでいる.これ対して,私は従来研究されてきた結合力学系としてのニューロンモデルと可塑性を持つネットワーク結合と2つの時間変化を併せて,数理モデルの導入と解析を目指している.本年の成果は以下の通りである. 始めにSpike-timing dependent plasticity を念頭にニューロン活動をリズム振動に限定することで解析を行い,可塑的なネットワークについて特性を分類した.概略を述べると,学習としてHebb的なケースでは同期したクラスターができ,STDPのように時間順序関係があるケースではシークエンスを形成する.またAnti-Hebbの時にはシステムはカオスと示す事が分かった.次にこの結果に基づき,性質の異なるリズム振動子の集団を2つ用意し繋いだときの効果を調べた.同じ性質の集団同士では重ね合わせのような状態となるが,異なる性質の集団間が繋がることでカオス的振る舞いをする集団の性質が変化することが分かった.この結果は,ヘテロな集団間の接続によって可塑的なネットワークのダイナミクスが変更を受けることを示している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画については順調に達成できている.導入予定の並列計算機サーバ群については,問題なく大学内サーバー室に設置できた.当初,研究計画に必要な数値計算プログラムにおいて、当該サーバへの移植に問題があることが分かり,改めて実装することが必要になったが.それによる遅延は現在では取り戻している.その後導入した計算機サーバ群を使い,順調に計画を推進で聞いている.その研究成果については,今年度は国際会議1件と招待講演を含めた国内学会・研究会等にて発表を行ってきた.
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今後の研究の推進方策 |
次年度については,当該課題の研究成果が次年度開催予定の国際会議にて採択され,発表予定である.また新学術領域内での共同研究成果として,私の提案する可塑的ネットワーク神経回路モデルを使って,ネットワーク解析を行っている.これについても次年度に2件の国際会議にて発表を予定している.その後は論文として研究成果をまとめて発表する予定である.
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