研究領域 | ヘテロ複雑システムによるコミュニケーション理解のための神経機構の解明 |
研究課題/領域番号 |
24120715
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
礒村 宜和 玉川大学, 脳科学研究所, 教授 (00415077)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 神経生理学 / ラット / 大脳皮質 / 運動野 / 神経細胞 |
研究実績の概要 |
本研究では、外界刺激により誘発される外発性の運動指令の形成(ボトムアップ型)と自らのタイミングによる内発性の運動指令の形成(トップダウン型)のために、大脳皮質内の神経回路上のどの細胞からどの細胞へどのような機能的情報が流れるのかを、「外発性/内発性」運動課題を遂行するラットの運動野を対象に、傍細胞記録法による「ナノ刺激」とマルチニューロン記録法を組み合わせて追跡することを目指している。 平成24年度は、前肢のレバー操作による外発性/内発性運動課題を遂行中の頭部固定ラット約60頭の一次運動野および二次運動野からのマルチニューロン記録を実施した。その結果、両領野とも、外発性運動発現にも内発性運動発現にも関与しているが、特に二次運動野では、外発性運動の発現時に活動が高まる細胞の割合が有意に多いことを明らかにした。また、これらの細胞の間では、相互相関図上で、数ミリ秒以内の同期的発火を示す細胞ペアがおよそ数%の頻度で観察された。これらの同期的発火を示す細胞ペアは、必ずしも運動発現に対して同じ機能を有する組み合わせではなかった。さらに、傍細胞記録により単一の記録細胞に人為的に発火を誘発させたときに(ナノ刺激)、その周辺のマルチニューロン活動を解析したところ、ナノ刺激に応答して発火が増大する細胞例も観察された。 現在、これらのマルチニューロン活動や同期性やナノ刺激による影響に関して定量的な解析を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現時点で、60頭以上のラットからのマルチニューロン活動データを蓄積しており、その定量解析も順調に進んでいる。また、理論研究者との共同研究も進みつつある。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに、実験データのデータベースを構築し終えつつあり、今後は理論研究者を交えて、理論的な視点を加味して定量的解析を進めていく。今年度中には、研究成果を論文発表の形で公表する予定でいる。
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