研究領域 | 過渡的複合体が関わる生命現象の統合的理解-生理的準安定状態を捉える新技術- |
研究課題/領域番号 |
24121704
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塚崎 智也 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (80436716)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 蛋白質 / 過渡的複合体 / 膜透過 / トランスロコン / リボソーム / 構造解析 / 構造生物学 / 膜組込み |
研究実績の概要 |
本研究では,過渡的複合体が関わる生命現象の統合的理解という観点から,翻訳と共役したタンパク質輸送時に一過的に形成されるリボソームを含む複合体に焦点をあて研究を進めてきた。リボソームが関わる蛋白質の輸送はすべての生物に保存された基本的な機構である。大腸菌などの真正細菌では,リボソームが直接Secトランスロコン(SecYEG膜タンパク質複合体),SecA, YidCなどと一時的に複合体を形成し,大きな構造変化を伴いながらタンパク質輸送を行う。リボソームや各Secタンパク質の立体構造情報は得られつつあるが,リボソームとこれら因子との超分子複合体の形成様式や作動メカニズムについては以前不明な点が多い。本研究ではリボソームを含む過渡的複合体をX線結晶構造解析により明らかとし,その構造情報に基づく生化学的解析などから,翻訳と共役するタンパク質輸送機構を解明する。 本年度はリボソームと各因子との複合体の構造解析に向け,各因子の精製方法を確立した。精製後のリボソームと各蛋白質はすべて単独で結晶化し,X線回折実験により構造解析に適していることを確認した。つづいて,リボソームを含む安定な複合体を形成させる条件の探索を進めてきた。リボソームと各因子との複合体は電子顕微鏡による単粒子解析の報告があり,その条件を基に改良を重ねた。その結果,リボソームとSecYEGとが安定に結合できる条件を見出した。今後,リボソーム-SecYEGの結晶化を進めると同時に,他の因子とリボソーム複合体の安定化条件を言い出し結晶化を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,おおむね順調に進展している。予定通り,本研究に用いる各因子の調整方法を確立できた。続いて,これら因子からなる複合体のX線結晶構造解析にむけて,安定化条件の探索を進めている。一部の組み合わせでは,複合体を安定化できる条件をすでに見出した。今後,計画している複合体の構造解析に向け大きな足がかりが得られた。
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今後の研究の推進方策 |
順調に研究が進展しているため,研究計画の変更はない。申請時の研究計画に準じて研究を進める。
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