研究概要 |
細胞内外の情報や物質のやり取りを行う”膜タンパク質”は、全タンパク質分子の約20%を占め、生命活動に必須である。一方で、細胞膜中で機能するため取り扱いが難しい、発現量が少ないなどの理由からそのメカニズムの理解は遅れている。我々は、光受容体・ロドプシンと伝達膜タンパク質の“膜分子複合体の過渡的変化”を様々な手法により解析している。このうち、赤外分光(FTIR) 法やラマン分光法に代表される振動分光法は、分子振動を鋭敏に捉える手法で、側鎖, 主鎖, 低分子(イオンや水など)の微細構造変化を捉えることができ、X線結晶構造解析やNMR解析では得ることが難しい情報を取得することができる。本研究では以下の4点について研究を行い、成果を得た。本研究を通じて、膜蛋白質解析のボトルネックである、試料調製法や解析手法を確立できたと考えている。 (1) 試料調製法の確立 [Sudo et al. 2013, J. Biol. Chem., Tsukamoto et al., 2013, J. Biol. Chem.], (2) 時間分解FTIR法による分子構造変化 [Furutani et al. 2013, J. Phys. Chem. B], (3) 時間分解ラマン分光法による分子構造変化 [Sudo et al. 2014, J. Phys. Chem. B], (4) 光照射固体NMR分光法による発色団構造変化 [Yomoda et al., 2014, Angew. Chem. Int. Ed.], (5) 全反射型FTIR法による2次構造測定 [東京大学船津研究室との共同研究]。
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