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2012 年度 実績報告書

単一細胞内での複数のセカンドメッセンジャー動態リアルタイム計測

公募研究

研究領域過渡的複合体が関わる生命現象の統合的理解-生理的準安定状態を捉える新技術-
研究課題/領域番号 24121717
研究機関京都大学

研究代表者

森井 孝  京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (90222348)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードバイオセンサー / イノシトールポリリン酸 / 単一細胞 / PHドメイン / リアルタイム計測
研究実績の概要

細胞内シグナル伝達を担う特定のイノシトールポリリン酸類の細胞内濃度変化を蛍光により計測するバイオセンサーを構築し、単一細胞において以下の研究を行った。
(1) 細胞膜でのフォスファチジルイノシトール三リン酸(PIP3)濃度変化を蛍光により計測
細胞内で発現できるPIP3センサーの土台として、IP4との特異的な結合に依存して構造がわずかながら変化することがX線結晶構造解析から明らかになっているGRP1-PHドメインを用いた。円順列変異を施した蛍光性タンパク質cpGFP(circularly permuted GFP)とリセプターとしてSplit化したGRP1-PHドメインを融合させたバイオセンサーを構築した。タンパク質構造情報に基づきcpGFPのPHドメインへの融合可能な位置及びPIP3もしくはIP4の結合により構造変化する領域を評価し、PHドメインの構造変化の大きなループ部位でPHドメインを分割し(スプリットPHドメイン)、融合する位置及びリンカー長を変え、cpGFPを挿入した。細胞膜に局在化させるため、cpGFP-GRP1にN-ミリストイル化シグナルを導入したセンサータンパク質を設計、作製し、現在その機能を評価している。
(2) 種類の異なるイノシトールポリリン酸濃度変化を単一細胞内で同時計測
イノシトールリン酸類に対するリセプターとしてPHドメインを用い細胞内IP4センサーを構築した。培養細胞に導入した蛍光性バイオセンサーにより、IP3およびIP4の濃度変化をリアルタイムに検出すると共に、カルシウム濃度変化と二種類のイノシトールポリリン酸類の時間的・空間的濃度変化を単一細胞内で同時に計測する手法を確立した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

(1) 細胞膜でのフォスファチジルイノシトール三リン酸(PIP3)濃度変化を蛍光により計測
昨年度の研究で、細胞内で発現が可能なPIP3センサーの原型を構築することが出来た。円順列変異を施した蛍光性タンパク質cpGFP(circularly permuted GFP)とリセプターとしてSplit化したGRP1-PHドメインを融合させたバイオセンサーは、IP4濃度変化に対して応答することを細胞外で確認した。このIP4センサーを細胞膜に局在化させ、PIP3センサーとするため、cpGFP-GRP1にN-ミリストイル化シグナルを導入したセンサータンパク質を設計、作製し、現在その機能を評価している。
(2) 種類の異なるイノシトールポリリン酸濃度変化を単一細胞内で同時計測
培養細胞に導入した蛍光性バイオセンサーにより、IP3およびIP4の濃度変化をリアルタイムに検出すると共に、カルシウム濃度変化と二種類のイノシトールポリリン酸類の時間的・空間的濃度変化を単一細胞内で同時に計測する手法を確立した。この手法は、細胞内イノシトール四リン酸濃度変化を制御する小分子の探索を行ううえで必須のものである。

今後の研究の推進方策

(1)蛍光色素・脂質分子修飾によるフォスファチジルイノシトール三リン酸(PIP3)センサーの構築
蛍光性タンパク質cpGFP(circularly permuted GFP)とリセプターとしてSplit化したGRP1-PHドメインを融合させたIP4センサーを細胞膜に局在化させ、細胞内PIP3センサーとしての機能を評価する。そのためまず、cpGFP-GRP1にN-ミリストイル化シグナルを導入したIP4センサーを大腸菌で発現させ、N-ミリストイル化されていない状態でのIP4およびPIP3への応答を評価する。次に、ほ乳細胞中で発現させたN-ミリストイル化シグナルを導入したIP4センサーの細胞内でのPIP3への応答活性を評価する。
(2) 細胞内イノシトール四リン酸濃度変化を制御する小分子の探索
昨年度確立した培養細胞に導入した蛍光性バイオセンサーにより、IP3およびIP4の濃度変化をリアルタイムに検出すると共に、カルシウム濃度変化と二種類のイノシトールポリリン酸類の時間的・空間的濃度変化を単一細胞内で同時に計測する手法を用いて細胞内イノシトール四リン酸濃度を制御する小分子を探索する。まず、すでにIP3キナーゼの阻害剤として知られている小分子を用いて、細胞内でそれらの阻害剤の活性を評価する。つぎに、阻害剤類縁化合物の中から、新しいIP3キナーゼ阻害活性を持つ分子をスクリーニングする。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Simultaneous Detection of ATP and GTP by Covalently Linked Fluorescent Ribonucleopeptide Sensors2013

    • 著者名/発表者名
      Nakano, S
    • 雑誌名

      J. Am. Chem. Soc.

      巻: 135,9 ページ: 3465-3473

    • DOI

      10.1021/ja3097652

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A Peptide Nucleic Acid (PNA) Heteroduplex Probe Containing an Inosine-Cytosine Base Pair Discriminates a Single-Nucleotide Difference in RNA2013

    • 著者名/発表者名
      Matsumoto, K.
    • 雑誌名

      Chem. Eur. J.

      巻: In Press ページ: In Press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Construction of ratiometric fluorescent sensors by ribonucleopeptides2012

    • 著者名/発表者名
      Annoni, C.
    • 雑誌名

      Org. Biomol. Chem.

      巻: 10 ページ: 8767-8769

    • DOI

      10.1039/c2ob26722e

    • 査読あり
  • [学会発表] 亜鉛フィンガータンパク質を用いたDNAオリガミへのタンパク質1分子固定化技術の開発2013

    • 著者名/発表者名
      西口 泰裕
    • 学会等名
      日本化学会第93春季年会
    • 発表場所
      立命館大学びわこ・くさつキャンパス
    • 年月日
      2013-03-22 – 2013-03-25
  • [学会発表] リボヌクレオペプチドリセプターを用いたナノ集成体の構築2013

    • 著者名/発表者名
      劉芳芳
    • 学会等名
      日本化学会第93春季年会
    • 発表場所
      立命館大学びわこ・くさつキャンパス
    • 年月日
      2013-03-22 – 2013-03-25

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公開日: 2018-02-02  

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