研究領域 | 過渡的複合体が関わる生命現象の統合的理解-生理的準安定状態を捉える新技術- |
研究課題/領域番号 |
24121724
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
古田 寿昭 東邦大学, 理学部, 教授 (90231571)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ケージド化合物 / 光化学 / 蛍光 / パクリタキセル |
研究実績の概要 |
1.任意のタンパク質をラベル化できる新規ケージドフルオロフォアの合成と光反応性 任意のタンパク質を選択的にラベル化でき、高い効率で2光子励起可能なケージドフルオロフォアの開発を目的として研究を行った。350 nm付近に吸収極大をもち、高い光反応効率で活性化できると期待されるBhc-ケージドフルオロフォア (1) を設計合成した。化合物1はHaloTagタンパク質をラベル化できる部位も持っている。Bhcmoc-caged fluorescein (2) は、338 nmに吸収極大(epsilon = 21,000 M-1cm-1)を持ち、生理的条件を模した緩衝溶液中、350 nm光照射によって定量的にpropargyl fluorescein (3) を生成することを明らかにした。このときの量子収率は0.026で、光反応効率(epsilon X phi)は 500で、2-ニトロベンジル基を持つケージド化合物より10倍程度効率が良いことも判明した。 2.多様な機能を付与可能なケージング試薬の開発 光分解性保護基であるBhcmoc基をパクリタキセル(PTX)に導入した分子を合成し、350 nm光照射でPTXを放出すること、放出したPTXがチューブリンの重合を安定化する事を確認した。この結果を基に光反応性を維持しつつ様々な機能を付与できるケージドPTXを合成した。コンセプトを確認する実験として、単糖であるグルコースを導入して水溶性の向上を図った。その結果,パクリタキセルの600倍以上高い水溶性を持ち,さらに,Bhcmoc-PTXより光反応性も向上した新規ケージドパクリタキセルGlc-Bhcmoc-PTXを開発することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究項目1の「高効率で2光子励起できる新しいケージドフルオロフォアの開発」として,当初の予定通り,任意のタンパク質をラベル化できる新規ケージドフルオロフォアであるBhc-ケージドフルオロフォアを設計合成することができた。 研究項目2の「多様な機能を付与可能なケージング試薬の開発」に関しても,様々な機能を付与できるケージドPTXを合成し,パクリタキセルの600倍以上高い水溶性を持ち,さらに,Bhcmoc-PTXより光反応性も向上した新規ケージドパクリタキセルGlc-Bhcmoc-PTXの合成に応用できることを示した。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究を継続しながら,当初計画を推進する。
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