前年度に構築した記憶と累積的文化(文化を修正してレベルを高める)の個体群モデルをもとにして、進化的侵入性解析を数学的に行い、記憶能力(特に、保持と想起に着目)と学習能力の進化ダイナミクスの解析を行った。進化的侵入性解析では1形質の進化しか解析する事が出来ない。そこで進化シミュレーションも行い、記憶(保持と想起)と学習能力の共進化を検証した。 結果は以下のとおりである。(1)累積的文化が無い状況では、社会学習コスト(模倣コスト)が低い場合には、記憶能力(保持と想起)は進化せず、忘却と学習の繰り返しのほうが適応的になっている事をしめした。(2)累積的文化があると、社会学習コストによらず、記憶能力は進化する事をしめした。 この研究を英文原著論文として仕上げ、国際雑誌へ投稿し、ただいま査読中である。 今後は、この研究を発展させ、環境変動下における記憶能力の進化に関するシミュレーションを行う予定である。
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