研究領域 | 元素ブロック高分子材料の創出 |
研究課題/領域番号 |
25102501
|
研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
米澤 徹 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90284538)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | ヘテロ元素ブロック / マトリクススパッタリング / 樹脂 / 熱硬化性 / ナノクラスター / 蛍光 / 樹脂包埋 / ウレタン |
研究概要 |
マグネトロンスパッタリング装置を用い、そのチャンバー内に直接液状高分子や樹脂モノマー液をに導入したのちに、マトリクススパッタリング法を用いて、無機ヘテロ元素ブロックとしての金属ナノ粒子・金属酸化物ナノ粒子を直接これらの液体内に導入した。その際の、スパッタリング電流、チャンバー内の雰囲気の制御によって、ナノ粒子の構造などに変化が生まれることを見出した。さらに、金ナノ粒子の場合、そのチャンバー雰囲気制御によって粒子径を微細化でき、蛍光を示す粒子が得られたため、その量子収率について評価したが、最大10%を越える高い量子収率のナノ粒子を得ることができ、バイオセンシングなどへの応用について検討可能であることが見いだされた。明確な出口イメージのある物質を作ることができたことは評価できる。 樹脂化も重合ノウハウの蓄積からウレタンおよびチオウレタン樹脂の合成が可能である。金属が直接入っているので重合制御をする必要があるが、透明熱硬化性樹脂が得られている。 また、合金ナノ粒子の合成では、ダブルスパッタリング用のスパッタリングガンを作製し挑戦中である。プラズマの混合に困難な点がみられるが、合金ナノ粒子を得られる可能性を見出している。 また、チタニアナノ粒子による高屈折率樹脂の作製については、チタニアのスパッタレートが低く、多くの粒子の導入が現時点ではまだ難しいが、スパッタリング時の圧力、樹脂モノマーの選択によって、スパッタ時間と屈折率との相関が明らかとなってきた。さらに、長時間・高効率でのチタニアナノ粒子の導入をもくろむことができる。 共同研究としては、東北大 渡辺明准教授との共同研究により、元素ブロックの一つである銅微粒子・ナノ粒子のレーザー焼結を試みたところ、基板への塗布後、レーザー照射によって微粒子のネッキングとネットワーク化が起こり、非常に高い導電性を得られることが見いだされた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スパッタリング法による金、銀、チタン、銅の金属ナノ粒子合成に成功した。その粒子径の広範囲での制御にも成功した。一部の金属ナノ粒子では、高い量子収率を示したものも得られた。また、チタニアナノ粒子の合成にも成功しており、その樹脂内への取り込みも行えている。 これらのナノ粒子の樹脂モノマー内への取り込みから、熱重合によって樹脂化した。その合成条件は厳しい場合もあったが、熱重合条件の設定は可能であり、樹脂内への包埋にも成功した。ただ、Tiの場合はスパッタレートが低く、多くの粒子の導入が難しかったが、Au、Agなどの金属の場合は比較的多くの粒子を取り込むことができ、樹脂化している。 また熱可塑性ポリマーであるPEG内にもナノ粒子を取り込むことが可能で、粒子径制御もできることが見いだされた。 これらの樹脂内のナノ粒子合成において、小角散乱について京都工芸繊維大学の櫻井伸一教授と共同研究を開始した。得られたナノ粒子の蛍光特性については、北大の長谷川靖哉教授と共同研究し、詳細な特性評価を行いはじめたところで、スパッタリング法によるナノ粒子の評価をした。また、東北大の渡辺明准教授と銅微粒子の応用についての共同研究を開始し、すでに結果について投稿した。本新学術領域研究で新しい共同研究の芽を見出すことができ、成果として評価している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、小角散乱による樹脂内ナノ粒子の粒子径の評価ならびに分散特性の評価について、京都工芸繊維大学の櫻井伸一教授と共同研究を続ける。また、ナノ粒子の傾向評価については、北大の長谷川靖哉教授との共同研究により詳細を明らかにする。また、東北大の渡辺明准教授とは元素ブロックとしてのナノ粒子の応用研究をつづけ、結果をさらに報告する。 本年度製造したダブルスパッタリングガンを用い、金・銀合金元素ブロックナノクラスターの合成をさらに続ける。合金クラスターの合成の成功ののち、粒子分画などにも挑戦し、ヘテロ元素ブロック蛍光ナノクラスターの製造法としての本手法の確立を図る。蛍光特性の詳細については、 高屈折率樹脂合成については、チタンに加え他の金属でのナノ粒子合成も行い、さらなる高屈折率化を目指す。
|