公募研究
本研究では研究代表者が先行研究で合成した①ピロロピロールアザBODIPYおよび本研究において合成する②TTF縮環フタロシアニンケイ素錯体の二つの分子系を元素ブロックとして、諸物性を精査した後に、それぞれ置換基部分および軸配位子の反応性による高分子への展開を目的としている。本年度は①ではピロロピロールアザBODIPYの吸収および蛍光のさらなる長波長化を、置換基としてオリゴチエニル基を伸張することで試みたところ、チオフェンユニットが3つまでは効果的に長波長化したのに対して、クアテルチエニル基ではほとんど長波長化しないことを見出した。またピロロピロールアザBODIPYを用いた有機薄膜太陽電池の変換効率のさらなる向上を指向して、広帯域に光吸収を示すピロロピロールアザBODIPY二量体の合成と基礎物性の解明を行った。理論計算より、二量体の単量体と大きく異なる吸収スペクトルは、溶液状態におけるさまざまなコンフォーメーションに由来することを見出したのに加えて、それを反映して複数成分の蛍光発光を観測した。②ではさらなる多量化を試みて、質量分析により12量体までの生成を確認し、6量体までを単離し、5量体までの同定を行った。NMRスペクトル測定から3量体まではフタロシアニン同士は自由に回転しているが、4量体以上では回転が阻害され、いくつかの回転異性体として存在することを見出した。また前年度の研究により、この系ではTTFユニットの酸化によって、積層方向での混合原子価二量体形成を電解吸収スペクトル測定から見出しているが、本年度は電解ESRスペクトル測定から、その挙動をさらに詳細に解明した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (22件) (うち招待講演 1件)
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