研究領域 | 元素ブロック高分子材料の創出 |
研究課題/領域番号 |
25102508
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
下嶋 敦 早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (90424803)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 光応答性材料 / 無機有機ハイブリッド / 自己組織化 |
研究概要 |
本研究課題では、光応答性の有機分子とシリル基(またはシロキサン)部位からなるビルディングブロックの設計と高分子化制御により、新しい有機シロキサン系の光応答性ハイブリッド材料を合成することを目的としている。H25年度は、光応答性分子であるアゾベンゼンの片側にアルコキシシリル基が結合した分子の加水分解・縮重合過程での自己組織化により、規則構造を有するハイブリッド薄膜を合成し、その構造と光応答性について調査した。置換基としてアリロキシ基(-OCH2CH=CH2)を有するアゾベンゼンに対して、Pt触媒下でのヒドロシリル化反応により-Si(OEt)nMe3-n (n = 2または3)基を導入した。エタノール溶液中でこれらの分子は、UV/Vis照射により可逆的に光異性化した。これらの分子の加水分解反応をTHF溶媒中で進行させた後、得られた溶液をガラス基板上にスピンコート・乾燥することによって薄膜試料を得た。X線回折により生成物はラメラ構造を有することが確認された。出発分子のアルコキシ基の数(n)によって層の繰り返し周期(d値)が異なり、層間におけるアゾベンゼンの配列状態が異なることが示唆された。シロキサン結合の形成は固体29Si MAS NMRによって確認された。次にこれらの薄膜試料の光応答性について調査した。キセノンランプを用いた5minのUV/Vis光照射によって部分的ではあるが可逆的なtrans-cis異性化を示すことが吸収スペクトルにより示された。それに伴い、X線回折においてわずかではあるが、ピークの可逆的なシフトが見られた。興味深いことに、n = 3の場合はUV照射によってd値の減少を示したが、n = 2の場合、逆にd値の増加を示した。以上の結果より、光照射によって構造を変化する新しい光応答性材料の合成が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の目的である、光応答性分子の合成、自己組織化による規則構造の形成、光応答性発現がすべて達成されているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、より効率的にかつ大きな構造変化を引き起こすための分子設計について検討する。
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