研究領域 | 元素ブロック高分子材料の創出 |
研究課題/領域番号 |
25102513
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
大山 俊幸 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (30313472)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 元素ブロック / 感光性 / エンプラ / ハイブリッド / 表面修飾 |
研究概要 |
最初に、ポリシロキサン部位含有ポリエーテルイミド(SiPEI)へのRDPの適用による微細パターン形成について検討した。N-フェニルマレイミドおよび感光剤(ジアゾナフトキノン(DNQ)を含んだSiPEIの薄膜を作製し、超高圧水銀灯からのUV光を露光したのちに、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)/水/NMP/メタノール= 2 / 5 / 10 / 18(重量比)の現像液で現像することにより、ネガ型微細パターンの形成に成功した。この結果より、ポリシロキサン部位含有エンプラへの微細パターン形成が可能であることが明らかとなったが、現像液としては有機溶媒を含む現像液の使用が必要であり、環境負荷の小さいアルカリ水溶液による現像は不可能であった。そこで次に、アルカリ水溶液現像に最適化された分子構造を有するポリイミドにポリシロキサン部位を導入したマルチブロックコポリイミドであるSiPIを合成し、このポリマーへのRDPの適用を検討した。その結果、ポリシロキサンの導入量の増加とともに現像時間が長くなったものの、有機溶媒を含まない2.5wt%TMAH水溶液での現像により、ネガ型微細パターンが形成可能であることが明らかとなった。 また、側鎖型RDPを応用することにより、露光部の表面にのみ選択的にアミノ基を導入することを試みた。その結果、露光量を小さくし、かつ現像を短時間で停止することにより、露光部の膜厚減少を抑えつつ露光部表面に選択的にアミノ基を導入できることが示された。さらに、露光部表面のアミノ基を利用した元素ブロック導入の可能性を確認するために、蛍光ラベル化剤と表面アミノ基との反応を行ったところ、アミノ基が存在する部位に選択的に蛍光ラベル化剤を導入できることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画通り、エンプラ/無機ハイブリッドに対してRDPを適用することにより、感光性を付与し微細パターンを形成できることを証明するとともに、実用性が高い「アルカリ水溶液のみでの現像」が可能であることも明らかにした。また、当初計画には含まれていなかった「RDPの応用による露光部表面への選択的な元素ブロック導入」についての予備的な結果を得ることにも成功した。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画に従い、種々のハイブリッド化手法によるエンプラ/無機ハイブリッドについて、RDPに基づく微細パターン形成を達成するための検討を行う。また、光酸発生剤およびアルコキシシラン類を添加したエンプラ膜について、露光時に光酸発生剤から生じる酸を触媒としてアルコキシシランのゾル-ゲル反応を一部進行させることにより露光部/未露光部間での現像液浸透性に差を生じさせる、新しいタイプのRDPを実現する。さらに、RDPの応用により露光部表面に導入した官能基への種々の元素ブロックの導入を行う。
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