感光剤(ジアゾナフトキノン(DNQ))およびトリメトキシフェニルシラン(TMPS)を含んだポリエーテルイミド(PEI)の薄膜を作製し、超高圧水銀灯からの露光および80℃での露光後加熱(PEB)を行ったのちに、一級アミン/NMP/水= 4 / 1 / 1(重量比)の現像液で現像を行う反応現像画像形成(RDP)について検討を行った。その結果、アミンとしてエタノールアミンを用いた場合には75分間の現像が必要であったのに対し、PEI膜への浸透性が高い2-メトキシエチルアミンを用いた系では同条件での露光・PEB・現像において3分8秒の現像時間で良好なポジ型微細パターンを得ることができた。また、TMPS添加量、露光量、PEB時間を最適化したMOEA現像系では、TMPS未添加の反応現像型感光性PEIと比較して、40倍以上の高感度と1/8の短時間現像が達成された。これは、露光により感光剤から生成する酸を触媒としたTMPSの加水分解がPEB時に起こり、生成するシラノールと感光剤からの酸の両方が露光部での塩基性現像液の浸透を促進した結果、高感度化と短時間現像が達成されたものと考えられる。 また、側鎖型RDPを応用した選択的表面修飾法によりポリ(N-フェニルマレイミド-co-スチレン)(PMS)膜表面に導入したアミノ基を足場として用い、原子移動ラジカル重合(ATRP)開始剤を膜表面に固定化した。この開始剤を用いてN-イソプロピルアクリルアミドの重合を行うことにより、膜表面へのポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)の導入に成功した。PNIPAM導入前後の膜について水接触角を測定した結果、PNIPAM鎖導入PMSにおいて大きな接触角の減少が確認された。
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