研究領域 | 元素ブロック高分子材料の創出 |
研究課題/領域番号 |
25102514
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
忍久保 洋 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50281100)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ジピリン / 金属錯体 / ヘリセン / オリゴマー / 蛍光色素 / BODIPY |
研究概要 |
BODOPYは強い蛍光を発する色素としてよく知られている。一方、我々は、アミノ基をもつパイ共役化合物を酸化するとピラジン環が生成し、二量化することを見いだしている。今回、2位にアミノ基をもつBODOPYをDDQによって酸化すると、ピラジン環が生成することによって二量化し、さらにもう一分子のアミノBODOPYが付加することによって、一挙に縮環型三量体が収率よく得られることを見いだした。X線解析により、この縮環型二量体部分が高い平面性をもつことを見いだした。さらに、この三量体はピラジンによる縮環構造のため共役が有効に拡張しており、強い近赤外吸収をもつことを明らかにした。このため、この縮環型三量体は近赤外吸収色素として利用できる可能性がある。 一方、アミノ基をもつポルフィリンを酸化すると螺旋型にねじれた縮環二量体が得られることを発見し、そのねじれ角が120°にも達することをX線解析から明らかにした。また、導入する置換基の立体障害によってパイ電子系のねじれの大きさを制御できることが分かった。 また、既にジピリンニッケル錯体の低原子価ニッケルを用いたホモカップリング反応によりノルコロールニッケル錯体が得られることを見いだし報告している。今回、ジピリンパラジウム錯体のホモカップリング反応により安定な反芳香族化合物であるオクタフィリンパラジウム二核錯体だけが高選択的に合成できることを見いだした。さらに、そのねじれた8の字型構造を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
アミノ基をもつポルフィリンの酸化により大きくパイ共役系がねじれた二量体が得られるという予想外の発見があった。これにより、通常の平面π電子系とは異なるねじれたπ電子系に特異的な物性や機能性が明らかになる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ジピリン金属錯体のパラジウム触媒によるカップリング反応によりヘリセン型の元素ブロックの創成を進める。また、縮環BODIPYについてはさらなるオリゴマー化を行い、その物性・機能性の研究を行う。
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