電子移動・触媒・センサー機能を有する金属タンパク質と多様な物性を持つ金属・半導体ナノ粒子のそれぞれを機能性の元素ブロックととらえ、生体分子の精密な分子間相互作用を活用して、金属タンパク質と金属ナノ粒子を階層化したハイブリッド型ナノ界面を電極基板上に構築した。安定性および量子収率に優れた半導体ナノ粒子を表面修飾することにより、ヘムタンパク質との複合化による触媒系を構築した。ヘムタンパク質としてミオグロビン(Mb)、半導体ナノ粒子としてCdTeナノ粒子(CdTe QD)を選択し、複合体の構築を行った。複合体におけるCdTe QDからMbへの電子移動反応および複合化後のヘムタンパク質機能について検証した。光還元によるMbの機能化について検証したところ、CO雰囲気下において可視光照射した際に、Fe(III)のmet-Mbは一電子還元を受けてFe(II)-CO錯体のCO-Mbに変換されることを明らかにした。ヘムタンパク質であるMbの機能を保持した状態でタンパク質への電子移動反応を高効率化したQD複合体の構築に成功しており、シクロデキストリンとアダマンタンの超分子相互作用を介して表面固定も有効であることを見出した。 電子移動の効率的なバイオ電極構築をめざし、電極上に固定した補酵素等の酸化還元中心に対しアポタンパク質を再構成することにより、酵素と電極間の効率的な電気伝導が可能となるバイオデバイスを作製した。具体的には、金ナノ粒子を固定化した電極表面にヘムを化学修飾し、その後アポタンパク質の再構成することによって、ヘムタンパク質を固定化修飾した電極を作製した。ヘム-ヘムポケット間の相互作用を活用した本系においてシトクロムb562の電子移動効率の優位性が明かとなった。
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