公募研究
様々な表面組成からなるポリ乳酸(PLA)カプセル間の一次元融合を利用した「元素ブロック高分子チューブ」の作製について検討した。まず、昨年度に引き続き、蛍光色素でラベル化したPLAカプセルを作製し、それらの融合挙動について検討した。PLAカプセル膜の蛍光ラベル化は、平均粒径1マイクロメートルのシリカ粒子上へのポリL-乳酸(PLLA)とポリD-乳酸(PDLA)の交互積層時に、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)でラベル化したポリ-L-リシンの積層操作を一段階組み込むことにより行った。得られた蛍光ラベル化PLAカプセルの水分散液を基板上に滴下し、20~40 ℃の間で乾燥させ、生成した構造体の形態を蛍光顕微鏡により観察した。分子量約6000あるいは約1万のポリ乳酸を用いたいずれの場合も、乾燥温度を室温から30℃あるいは40 ℃に上げることで多くのチューブ形成が起こることが分かった。また、これらのカプセル水分散液に等量のアセトニトリルを添加することで、より多くのチューブ形成が認められた。次に、異なる表面組成 (PLLA表面あるいはPDLA表面)を持つ2種のPLAカプセル間の融合による元素ブロック高分子チューブの作製について検討した。これら2種のカプセルを区別するために、PDLA層を表面にもつカプセルに蛍光ラベル化を行った。形成されたチューブの蛍光顕微鏡写真より、これらのチューブ膜にはFITCの蛍光がランダムに観察され、PLLA表面を持つカプセルとPDLA表面を持つカプセルの一次元融合によるヘテロチューブの形成が確認された。これより、表面組成の異なる2種の高分子カプセル間の一次元融合を利用することで、元素ブロック高分子チューブを作製できることがわかった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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