研究領域 | 元素ブロック高分子材料の創出 |
研究課題/領域番号 |
25102534
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
小野 利和 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20643513)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 超分子化学 / 結晶工学 / 光化学 / ナノ材料 / 蛍光 / リン光 |
研究概要 |
π共役分子の優れた光化学特性、電気化学特性を固体中で十分に発揮するためには、π共役分子の会合制御が重要である。本研究においては、ピリジル基を含むナフタレンジイミドと嵩高い三級ホウ素と芳香族分子溶媒を用いて、ホウ素-窒素結合(B-N結合)とチャージトランスファー相互作用(C-T相互作用)の協同的なドナーアクセプター相互作用を用いる事によって、芳香族分子溶媒を含む包接結晶の創製を達成した。単結晶X線構造解析、粉末X線構造解析、元素分析、NMR分析によりその固体中での構造を明らかとした。また興味深い事に、含有する芳香族溶媒の違いによって紫外光照射による多色発光特性が観測された。具体的にはベンゼンでは青、フルオロトルエンでは水色、キシレンでは緑、アニソールでは黄色、1メチルナフタレンでは橙色発光であった。結晶構造中でナフタレンジイミドと溶媒分子とがエキサイプレックス(もしくはチャージトランスファー錯体)を形成することで、その発光特性を示したと考えられる。高いものでは絶対発光量子収率が30%を超える固体発光特性であった。更にフルオロトルエンとナフタレンの混合溶媒を用いて得られた包接結晶からは、白色発光が観測されることも見出した。蛍光顕微鏡観察の結果、単結晶からの発光であった。またヨードベンゼンを芳香族分子溶媒として用いて包接結晶を得たところ、赤色リン光を示す事が明らかとなった。リン光寿命は数百マイクロ秒であり、ヨウ素原子を含む事による重原子効果によって励起1重項から励起3重項へ効率良く項間交差が起こり、結果としてリン光が観測されたものと考えている。以上のように、π共役分子の会合制御の方法として結晶化を用いる事で、様々ユニークな固体発光特性を示す材料の創製を達成している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
π共役分子の会合制御の方法として、ホウ素-窒素結合(B-N結合)とチャージトランスファー相互作用(C-T相互作用)の協同的なドナーアクセプター相互作用を用いる事によって、芳香族分子溶媒を含む包接結晶が様々創製可能であることを明らかとした。また芳香族分子溶媒の種類を変化させる事により、多色発光や白色発光やリン光発光材料が得られる事を明らかとしており、単に構造論としての面白さだけでなく、光エネルギー変換機能を有する機能性材料として研究展開可能なことを示した。
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今後の研究の推進方策 |
効率な光エネルギー変換材料としての展開を目指すべく、特に絶対発光量子収率が30%を超える発光結晶材料の創製を目指す。またメカニズムとして、これまで殆ど報告例のない、室温での強発光性リン光発光材料の創製ならびにその多色発光材料、白色発光材料の創製を達成する。
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