研究概要 |
簡便な末端官能基変換と代表的なクリック反応である CuAAC 反応をくり返すことで単一のデンドリマーから高分子量精密集積体を効率的かつ高収率で構築する手法を開発することに成功した。最初に、共役鎖内包型デンドリマー D1 (MW = 3,936) を合成した。続いて D1 を二分し、それぞれ片側末端基のみ CuAAC 反応に活性なアジド基およびエチニル基に高収率で変換することで、デンドリマー D1A 、 D1E をそれぞれ得た。得られた D1A と D1E を用いて CuAAC 反応を行うことで、デンドリマー二量体 D2 (MW = 7,762) を高収率で得ることに成功した。さらに、同様の官能基変換と CuAAC 反応を繰り返し行うことで、デンドリマー二量体から四量体 D4 (MW = 15,414) を、さらに四量体から八量体 D8 (MW = 30,719) を効率的かつ高収率で得ることに成功した。これらの研究成果は、デンドリマー型元素ブロック高分子を構築するための汎用性の高い効率的な方法を提供するものである。また、 CuAAC 反応がナノスケール元素ブロック高分子の構築に対して極めて有用な手法であることを実証した。 デンドリマー単量体および集積体のUV-visスペクトルを測定したところ、単量体と集積体は異なるスペクトルを与えた。単量体のスペクトルは、同程度の鎖長をもつオリゴ(フェニレンーエチニレン)(OPE)の溶液スペクトルとよく一致したが、集積体のスペクトルは OPE がランダム配向した会合体の吸収と一致した。蛍光スペクトルにおいても集積体のスペクトルは OPE 会合体のスペクトルと一致した。さらに、吸収スペクトル形状の溶液濃度依存性はいずれの集積体においても無視できる程度しかなかった。これらの結果は、集積体は溶液中において折りたたみ型構造を取ることを示している。
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