研究概要 |
ハイブリッドナノチューブにおけるプラズモニックナノ空間の創成を目指して、金属ナノ粒子-フラーレン-ポリチオフェンハイブリッドナノチューブを以下に示す方法により合成した。フラーレン含有ポリチオフェンナノチューブ(C60-PNT)と、金属ナノ粒子との複合体を合成するため、電解重合能を有するターチオフェン誘導体で保護した金および銀ナノ粒子(TTP-Au, TTP-Ag)を合成した。TTP-Au, TTP-Agを、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察したところ、粒子径はそれぞれ約3.0 nm, 2.4 nmであることが分かった。続いて、ターチオフェン連結C60(TE-C60)とTTP-Au、TE-C60とTTP-Agを用いてアルミナ膜をテンプレートとした電解共重合により、フラーレンと金属ナノ粒子との複合体(C60-Au-PNT, C60-Ag-PNT)を合成した。その後、アルミナ膜を除去し、得られたサンプルを走査型電子顕微鏡(SEM)、TEM、および、エネルギー分散型X線分析(EDX)により観察した。その結果、Au, Agの存在を確認するとともに、チューブ全体に金および銀ナノ粒子が凝集することなく分散している様子を観察した(C60-Au-PNT)。さらに、これらハイブリッドナノチューブのラマンスペクトルを測定すると、金属ナノ粒子との複合体であるC60-Au-PNTおよびC60-Ag-PNTは、C60-PNT と比較して顕著な表面増強ラマン散乱を示した。一方、非常に興味あることに、Agナノ粒子ハイブリッドポリチオフェンナノチューブ(Ag-PT-NT)は蛍光増強を示した。これは、Agナノ粒子の表面プラズモンとポリチオフェンとの相互作用に起因する。
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