公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本申請課題では、上記のような柔軟な相互作用を生み出す舞台として、両親媒性ブロックオリゴマーによる金属錯体の組織化を用いた配列構造制御に着目した。このような手法から、金属錯体の配列構造・物性を多様に制御することによって、固体結晶化学には全く見出されていない、金属錯体の新しい高分子的自己組織化技術の創出と特異的物性の発現を目指した。このような現象を基礎知見ととらえ、より多彩な情報伝達システム(スピンコミュニケーション)へ発展することを期待している。今年度は以下のものを取り組んだ。1. リビング重合によるブロック型オリゴペプチドの合成昨年度までに、Co(PMe)4 を開始剤として、リビング重合によるブロック型オリゴペプチド(重合度100 以下、PDI<1.1)の合成手法を確立している。今年度は、カチオン性金属錯体との静電的相互作用による集合組織化を目指して、親水性部位としてアニオン性アミノ酸(Glu, Asp)を導入した。また、特徴的な二次構造(α-へリックスなど)を形成することが予想される疎水性アミノ酸(Leu)を組み込み、ナノ構造の制御を検討した。合成は、グローブボックス内にて嫌気下にて行い、NMR、FT-IR、GPC によって評価し、その2次構造、3次構造をCD、DSC、TEM などにて評価した。2. 自己集合特性の制御とスピン平衡型の金属錯体の界面集積化スピン平衡特性を有するCo(II)錯体などを合成し、オリゴマーとの複合体を作成した。ポリマーの重合度やブロックの比率(m : n)を変化させることによって、スフェア、ベシクル、チューブ、ファイバーを系統的に作り分ける条件を模索した。
2: おおむね順調に進展している
1. リビング重合によるブロック型オリゴペプチドの合成研究実績概要で述べたように、Co(PMe)4 を開始剤として、リビング重合によるブロック型オリゴペプチド(重合度100 以下、PDI<1.1)の合成手法を確立した。特に、カチオン性金属錯体との静電的相互作用による集合組織化を目指して、親水性部位としてアニオン性アミノ酸(Glu, Asp)を導入することに成功した。また、特徴的な二次構造(α-へリックスなど)を形成することが予想される疎水性アミノ酸(Leu)を組み込み、ナノ構造の制御を検討した。合成は、グローブボックス内にて嫌気下にて行い、NMR、FT-IR、GPC によって評価し、その2次構造、3次構造をCD、DSC、TEM などにて評価できている。さらに、スピン平衡特性を有するCo(II)錯体を合成し、オリゴマーとの複合体を作成した。ポリマーの重合度やブロックの比率(m : n)を変化させることによって、スフェア、ベシクル、チューブ、ファイバーを系統的に作り分ける条件を模索した。以上のように、おおむね初年度の目的を達成しており、おおむね順調に進展しているといえる。さらに、磁性金属錯体とは別に発光性金属錯体、混合原子価錯体などと、ブロックポリペプチドとの複合化にも成功しており、本来の目的以上の成果も見出しつつある。
今後は、これまでの磁性金属錯体とブロックポリペプチドとの複合化について以下の点を重点的に進めていく。・自己集合体の磁性揺らぎの評価スピン平衡性のFe(II)金属錯体を用いたオリゴマー集合体を形成する。この集合体は、オリゴマーのアロステリックな集合構造転移に基づき、単核錯体にはないスピンクロスオーバー特性が発現できるかどうかをSQUIDやメスバウアー測定によって評価する。さらに、複合体の局所構造を走査型プローブ顕微鏡にて評価する。このことから、ポリペプチド-Fe(II)錯体の室温付近における分子間コミュニケーションを物性と構造の両面から相互的に評価する。・高圧シェアストレスをもたらす衝撃波を用いた新しい分子集合体配列技術の創出上記までに得られた自己集合性高分子化金属錯体を、衝撃波を用いて基板上に配列固定化する手法を開拓する。10GPa程度のシェアストレスがかかる爆発衝撃波の状態、方向、パターンを制御することによって、自己組織体の配列方向を力学的に制御し、新しい配列構造を形成する。このことによって、多彩な衝撃波からもたらされる新しい分子整列状態を形成し、金属錯体間の分子間コミュニケーションを制御する。以上のことから新しい有機無機融合材料というべき物質群を形成し、磁性材料のみばかりでなく、誘電材料、導電材料、触媒材料としての新しいパラダイム創成を目指す。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
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http://www.nano.sojo-u.ac.jp/nano-Lab/nano%20lab/Kuroiwa/index.html