研究領域 | 元素ブロック高分子材料の創出 |
研究課題/領域番号 |
25102548
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪市立工業研究所 |
研究代表者 |
渡瀬 星児 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 電子材料研究部, 研究主任 (60416336)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 元素ブロック / シルセスキオキサン / カルバゾール誘導体 / 薄膜材料 / ホール輸送性 / 分子間相互作用 / ダイオード素子 / 整流性 |
研究概要 |
ポリシルセスキオキサンはケイ素に直接結合した有機基を一つ有するシロキサン系高分子であり、従来より絶縁体と考えられてきた。このポリシルセスキオキサンに各種有機分子やナノ粒子などの種々の元素ブロックをハイブリッド化し、さらに薄膜化することによって、ポリシルセスキオキサンに半導体特性を付与する方法を明らかにすることが本研究の目的である。さらに、そのようなポリシルセスキオキサン薄膜をプリンタブルな半導体として用いて実際にダイオード素子を作製し、その特性評価を行うことで、元素ブロックが半導体特性に及ぼす影響や役割、プリンタブル半導体材料としての新たな応用の可能性についても検討を行っている。今年度は、ハイブリッド化の手法として、クリック反応による化学結合の形成を利用した元素ブロックの導入、分子間相互作用の形成を活用した様々な元素ブロックを導入したポリシルセスキオキサン薄膜の作製について検討を行った。具体的には、チオールエン反応により低分子有機化合物を連結したポリシルセスキオキサンの合成、分子間相互作用を介して有機低分子化合物をハイブリッド化したポリシルセスキオキサンを合成し、それらの薄膜を用いてダイオード素子を構築し、その特性について調べた。その結果、チオールエン反応によりカルバゾール基を挿入したポリシルセスキオキサンと同様に、ホール輸送性のカルバゾール基を有する低分子有機化合物をポリシルセスキオキサンにハイブリッド化することでも、ポリシルセスキオキサン薄膜のホール輸送特性が大幅に改善され、整流性に優れたダイオード素子を作製できることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分子間相互作用を介してホール輸送性の低分子有機化合物をポリシルセスキオキサンにハイブリッド化する方法でポリシルセスキオキサン薄膜のホール輸送特性が大幅に改善できることがわかり、次年度に予定通り検討を進めることができるため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、分子間相互作用を利用して化学結合を介さずに元素ブロックをポリシルセスキオキサンに導入する相互作用型ハイブリッドの検討をさらに発展させる。具体的には、低分子有機化合物にとどまらず、金属錯体、フラーレン、表面を有機化した金属酸化物ナノ粒子などをポリシルセスキオキサンに導入する方法について検討を行う予定である。また、それらを用いたヘテロ接合型ダイオード素子の作製とその特性評価を進め、半導体素子への応用の可能性について引き続き調査を行う。
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