研究領域 | バルクナノメタル ー常識を覆す新しい構造材料の科学 |
研究課題/領域番号 |
25102708
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
生駒 嘉史 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90315119)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 巨大ひずみ加工 / 半導体材料 / 相変態 / 準安定相 / 結晶粒微細化 |
研究概要 |
本研究では、巨大ひずみ加工によるバルクナノ結晶半導体の新規創製を目的としている。本年度は主としてシリコン(Si)およびゲルマニウム(Ge)について、巨大ひずみ加工法の一つであるHigh-Pressure Torsion (HPT)による加工を施し、結晶構造の変化や光学特性について調査した。Siの場合、単結晶Si基板小片を用い、室温にて付与圧力および回転速度をそれぞれ24 GPa、1 rpmとした。付与ひずみを増加させた場合、準安定相であるSi-IIIやSi-XIIの形成が促進されることがわかった。アニール処理後の試料において、高分解能TEM観察にてSiナノ結晶粒が存在することを確認した。またフォトルミネッセンス(PL)測定では、回転数の増加とともに短波長側へのピークシフトが観察された。GeのHPT加工では、試料に純度99.999%のGeロッドを用いた。ディスク状にスライスした後、付与圧力24 GPa、室温にてHPT加工を行った。HPT加工によりダイヤモンド構造のGe-Iに加えてST12構造のGe-IIIが形成されることがわかった。これはHPT加工時には高圧相のGe-IIとなっており、圧力を除荷した際にGe-Iに加えて準安定相のGe-IIIが生成したと考えられる。また室温にてラマン散乱分光測定を行うと、Ge-IIIピークが消滅し、Ge-Iのみとなることがわかった。これは測定中にレーザーアニールが起こるためであり、試料温度を約180 Kに冷却することで準安定相ピークが観察されることがわかった。また低温でのPL測定では、発光ピークは得られないことがわかった。これはSiと同様の結果であり、アニール処理による結晶構造および光学特性の変化が期待される。またガリウム砒素(GaAs)については加工後およびアニール後のGaAs-I結晶粒の観察および温間HPT加工実験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初ZnTeのHPT加工についても実施する予定であったが、アニール処理後のSiナノ結晶存在の確認およびHPT加工後のGeの相変態について詳細に観察する必要があったため、ZnTeについては来年度への研究課題とした。またGaAsについては温間HPT加工による相変態について継続調査中である。SiおよびGeについては一定の研究成果が得られたため、「(2)おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
Siについて、付与ひずみの増加に伴う結晶粒微細化を試みるとともに、フォトルミネッセンスによる発光特性のさらなる改善を試みる。またナノ結晶粒の構造特性評価として、TEMなどによる微細組織観察を行う。Geについては準安定相形成の付与ひずみ依存性およびアニール効果、フォトルミネッセンス発光特性の評価を行う。化合物半導体では、GaAsについて温間HPT加工による準安定相形成と光学特性変化について調査する。またZnTeについてはZnTe結晶を用いたHPT加工を行う。
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