研究領域 | バルクナノメタル ー常識を覆す新しい構造材料の科学 |
研究課題/領域番号 |
25102710
|
研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
|
研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
宮本 博之 同志社大学, 理工学部, 教授 (10298698)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | ナノ結晶材料 / 電解析出法 / 強度 / 熱的安定性 |
研究概要 |
公募班第一期では、電解液にWO3粒子を懸濁させた電析共析法により、粒径が約40nmの母相ナノ結晶ニッケル中に10nm程度のWO3粒子が分散したナノ粒子分散ナノ結晶ニッケルを合成することに成功した。ナノ結晶材中のWO3粒子は素材粒子(1次粒)より小さく、そのため電解ニッケル中に取り込まれる過程で破砕して微粒化している可能性を考えた。さらに結晶構造が単斜晶から正方晶へ変化する興味深い現象が確認された。しかし、分散粒子の凝集や偏在も一部に観察され、強度や熱的安定性への効果も限定的であった。 そこで、本年度は新しい方法を試みた。すなわち電解液にNa2WO4を溶解させて、WO42-として電離したイオンを電析中のpHや電極電位を制御して電気化学反応によりWO3粒子を電解ニッケル中に析出させて微細なWO3粒子が分散したナノ結晶Niを作製することを試みた。結晶粒径が約20nmの母相ニッケル組織中に同一レベルのWO3粒子が分散していることが電子顕微鏡とEDSにより確認できた。また、結晶粒径が同レベルのナノ結晶ニッケルに比較してさらに硬度上昇と熱的安定性の向上が確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電解析出したナノ結晶ニッケル材料中にWとOからなる析出物の存在が確認できた。さらに純ニッケルナノ結晶材料に比較して硬度の上昇と熱的安定性の向上が確認できた。
|
今後の研究の推進方策 |
強度上昇と熱的安定性の向上は確認できたが、その効果は限定的であった。また、粒子径の分布状態も不明である。今後はさらにタングステン酸化物の析出量、その粒子径をコントロールする条件を探索すると同時に、より定量的な組織観察を行う。そしで強化機構の解明とさらなる高強度化と熱的安定性の向上をめざす。
|