研究領域 | バルクナノメタル ー常識を覆す新しい構造材料の科学 |
研究課題/領域番号 |
25102711
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
渡邊 育夢 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, その他 (20535992)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 非線形有限要素法 / 結晶塑性論 / マルチスケール / 微細粒化 / 有限ひずみ |
研究概要 |
ミクロ-マクロ有限要素解析を代表的な強ひずみ加工プロセスのひとつであるECAEプロセスへ適用した。ここでは,1パスの加工プロセスの数値シミュレーションで取得した代表点の変形履歴を利用して,マルチパスの多結晶組織の変形解析を行った。有限要素解析で扱うことのできるBルートおよびCルートを対象として相当ひずみ300パーセントを超える強ひずみを付与することに成功した。加工プロセス中の多結晶組織の変形状態とともに方位分布を示す極点図の変化を描画することによって,加工プロセスの有効性を議論した。 方位分布の偏在である集合組織は結晶塑性論に基づいて塑性変形に伴う結晶粒の回転によって発生する。結晶粒内の不均一変形とともに粒回転も不均一に発生し,単一結晶粒が見かけ複数結晶粒へ分離することから,結晶粒内の変形表現の解像度を高く設定することで変形による微細粒化の再現を試みた。現状では不均一な方位回転の結果として結晶粒の分離を表現できてはいるものの,粒界と呼べるほど明確な境界面として再現するには至っていない。結晶粒の定義を再考し,新たなモデル化を検討することが今後の課題として明らかになった。 また,周期的な多結晶組織の有限要素モデルを結晶粒内の要素分割を調整しながら作成することは,一般的な商用ソフトウェアでは非常に労力がかかるため,材料組織の形態の作成からメッシュ分割まで半自動的に有限要素モデルを作成するためのプログラム開発を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は既往のシーズ技術を研究対象へ適用し,技術的課題を洗い出すことを念頭に研究を進めた。ある程度想定していた課題が確認でき,次年度に対応する。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に明らかにした課題として結晶塑性構成モデルにおいて変形とともに進展する結晶粒界のモデル化に取り組む。本課題は非常に挑戦的な課題であり,結晶塑性構成モデルの開発と有限要素モデル作成技術の開発を並行して進める。 前者に対しては,まず各応力評価点で有する結晶面情報を用いて方位差を表現することを試みる。そして,方位差を強化機構として結晶塑性構成モデルへ導入する。 後者に対しては,理想形状からなる多結晶組織のメッシュ解像度と結晶粒数を制御してモデルを作成するプログラムを開発。またボロノイ分割で作成した周期的な多結晶組織の形態を基に周期境界条件を与えられるように要素分割するプログラムを開発する。
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