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2013 年度 実績報告書

重力波と電磁波の同時検出を目指した全天監視型X線撮像検出器の開発

公募研究

研究領域重力波天体の多様な観測による宇宙物理学の新展開
研究課題/領域番号 25103507
研究種目

新学術領域研究(研究領域提案型)

研究機関金沢大学

研究代表者

米徳 大輔  金沢大学, 数物科学系, 准教授 (40345608)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードガンマ線バースト / 重力波 / 人工衛星 / X線 / 検出器開発
研究概要

重力波検出の最有力候補の1つである中性子星連星の衝突・合体では、ショートガンマ線バーストが発生する可能性が指摘されている。重力波観測だけでは方向決定が難しいため、X線で同時に観測し、詳細な方向が決定できる検出器を開発することが本研究の目的である。そのために、シリコン撮像検出器と符号化マスクを利用した広視野X線撮像検出器を開発している。
平成25年度は、浜松ホトニクス社と共同でシリコンストリップ検出器を開発した。300μmピッチに64本の電極を配置し、1ストリップあたり32mmの長さの検出器を開発した。電極間に起因する静電容量が検出器性能に影響を与えるため、電極の幅が100μm, 200μm,280μmの3種類のモデルを開発した。リーク電流特性や静電容量特性などを把握しているところであるが、電極幅が小さいと電場集中が起こりやすくなり、逆電圧に対する降伏現象が起きやすくなることが分かっている。
同時に、専用の読み出し集積回路の開発も行なっている。約1キロ電子ボルトからの低エネルギーX線の信号を読み出せるよう、世界的に見ても非常に増幅率の高い集積回路となっている。検出器は接続しない状態で、集積回路単体の性能評価を行なっている最中ではあるが、約1.5キロ電子ボルトからの読み出しが可能となっている。次年度以降は、検出器と集積回路を統合したシステムを用いて性能評価を行なうとともに、多数のセンサーを駆動できるFPGAシステムの開発を行ないたいと考えている。
また、金沢大学にて宇宙理工学を重点的に教育・研究するためのプロジェクトが文科省により採択され、H26年度から準備を進めることとなった。目標としている2018年頃の打ち上げを目指し、人工衛星および検出器の開発を進めたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

H25年度はシリコン検出器の開発に重点を置いた計画を立てていたが、当初の目標に加えて、読み出し回路の開発も実施することができたため、H26年度の研究を先行して達成できたと考えている。
まず、浜松ホトニクス社と共同で、シリコンストリップ検出器を開発した。先の概要でも述べた通り、3種類の電極幅のモデルを開発し性能評価を行なっている最中であるが、逆電圧に対する降伏が起きにくくするために、電極幅は200μm程度は必要であると判断している。今後は詳細な性能評価を実施し、最適モデルを開発したいと考えている。
次に、宇宙科学研究所の池田博一教授らと共同で、専用の読み出し集積回路の開発も行なった。現存する類似の集積回路の中でも増幅率が非常に高くなっており、雑音レベルを十分に低く抑えることができるかが課題となっていたが、現在のところ、集積回路単体で約1.5キロ電子ボルトからの読み出しが可能となっており、第一段階の開発としては十分な性能であると判断している。また、PCに組み込むことのできる専用FPGAボードを利用した集積回路の試験環境も構築することができたため、次年度以降の開発がスムーズに遂行できると考えている。

今後の研究の推進方策

まず実施すべきこととしては、集積回路を用いてシリコンストリップ検出器を読み出す事であると考えている。64センサーを同時に読み出すことができれば、X線撮像検出器としての機能を実証することができる。集積回路の信号を読み出す環境は構築できているため、符号化マスクを作成し、撮像実験を行いたいと考えている。人工衛星に搭載するモデルでは、複数のセンサーを同時に駆動することが必要であるため、FPGAによる並列処理を実現したい。
また、シリコン検出器および集積回路の両方に対して、宇宙線環境を模擬した放射線試験(陽子線およびガンマ線照射試験)を実施することを考えている。シリコン検出器については、放射線による格子欠陥などによる漏れ電流の増加や、降伏電圧の変化など、特性に与える影響について精査したいと考えている。集積回路については、放射線照射量に対する集積回路そのものの性能劣化について調査すると同時に、いわゆるシングルイベントと呼ばれる、メモリ反転を起こす確率を評価したいと考えている。
以上の実験で検出器の動作を実証できれば、宇宙の放射線環境下でも動作可能な検出器のプロトタイプモデルと言えるだろう。H26年度中にここまで実験を遂行したいと考えている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Short Gamma Ray Burst Formation Rate from BATSE data using E_p-L_p correlation and the minimum gravitational wave event rate of coalescing compact binary2014

    • 著者名/発表者名
      Yonetoku, Daisuke; Nakamura, Takashi; Takahashi, Keitaro; Toyanago, Asuka
    • 雑誌名

      Astrophysical Journal

      巻: arXiv:1402.5463 ページ: 1-6

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Establish of Gravitational Wave Astronomy with Gamma-Ray Burst and X-ray Transient Monitor2014

    • 著者名/発表者名
      Daisuke YONETOKU, Tatsuya SAWANO, Shunsuke TAKATA, Kazuki YOSHIDA, Hiroki SETA, Asuka TOYANAGO, Yudai WAKASHIMA, Hajime YONEMOCHI, and Hirokazu IKEDA
    • 雑誌名

      Takumi Journal

      巻: - ページ: 1-9

    • 査読あり
  • [学会発表] Establish of Gravitational Wave Astronomy with Gamma-Ray Burst and X-ray Transient Monitor2013

    • 著者名/発表者名
      Daisuke YONETOKU, Tatsuya SAWANO, Shunsuke TAKATA, Kazuki YOSHIDA, Hiroki SETA, Asuka TOYANAGO, Yudai WAKASHIMA, Hajime YONEMOCHI, and Hirokazu IKEDA
    • 学会等名
      The 5th Nano-Satellite Symposium
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      20131120-20131122
  • [備考] 金沢大学衛星プロジェクト

    • URL

      http://kanazawa-sat.w3.kanazawa-u.ac.jp/

  • [備考] 米徳のホームページ

    • URL

      http://astro.s.kanazawa-u.ac.jp/~yonetoku/

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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