公募研究
本研究では,トポロジカル超伝導体の有力候補であるスピン三重項超伝導体UPt3の多重超伝導相各相における準粒子低エネルギー励起構造の詳細を明らかにし,スピン三重項超伝導の一般的理解を深めることを目的としている.平成26年度は,前年度に引き続き,熱ホール伝導率から各相での超伝導準粒子状態を調べた.これまで得られている熱伝導率に熱ホール伝導率を組み合わせることで非局在準粒子の状態密度および平均自由行程の情報を初めて得ることに成功した.一方,前年度に開発した超音波装置により,超伝導状態における縦波弾性率C11の磁場方向依存性を測定した.測定システムの高精度化に成功した結果,混合状態における多重超伝導転移を弾性率により明確に観測した.さらに弾性率を超音波の変位方向と磁場方向が平行な場合と垂直な場合の2つの配置で測定し,両者の差から各相での渦糸弾性率を求めた.一方,UPt3との比較のため,同じアクチナイド化合物でスピン三重項超伝導の可能性が指摘されているUBe13の超伝導状態も熱輸送,熱電係数を用いて調べた.このUBe13では超伝導相内で比熱や磁化に別の異常が見られていることから多重超伝導相の可能性が示唆されている.熱伝導率の温度および磁場依存性の結果,UBe13では低磁場低温領域において準粒子励起はほとんどないことが明らかになった.これは超伝導ギャップが等方的,あるいはフェルミ面の存在しない向きにポイントノードがあることを示唆しており,UPt3とは異なる超伝導状態であることがわかった.また,超伝導相内で熱伝導率に特に目立った異常がないことからギャップ構造が劇的に変化するような多重超伝導の可能性は低いことがわかった.また,スピン三重項超伝導の理解を深めるため,パリティが混合した超伝導が期待されている反転対称性が破れた結晶構造を持つCeIrSi3の超伝導ギャップ構造も調べた.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 2件) 備考 (4件)
Journal of Physics: Conference Series
巻: 592 ページ: 012148/1-6
10.1088/1742-6596/592/1/012148
J. Phys. Soc. Jpn.
巻: 83 ページ: 061013/1-8
10.7566/JPSJ.83.061013
固体物理
巻: 49 ページ: 19-32
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